4日のヤクルト戦ではOP戦1号…見せつけた長打力
寡黙な男が口にするからこそ、重い言葉だった。ホークスのレギュラーにのしかかる「責任」の2文字。2025年の活躍を経た今、柳町達外野手も大きな期待を背負っている。
昨シーズンから長打力アップを掲げてウエートトレーニングを継続。強化したフィジカルと、繊細な感覚を春季キャンプの1か月で擦り合わせてきた。「怪我したら元も子もないので、そこは気をつけながら。でもやることはしっかりできたし、宮崎でいい時間を過ごせたかなと思います」。今月4日、ヤクルトとのオープン戦では右翼ポール際にソロ本塁打。2死走者なしという状況でアーチを架け、進化した姿を結果で示した。
春季キャンプ中、そして3月に入っても背番号32はほとんどの試合で上位打線を任されている。昨年までこの時期は競争の輪にいたが、自らの立ち位置が明らかに変わった証。首脳陣とファンの期待を背負いながら、開幕を目指して調整している。今の胸中を問われると、順調な調整ぶりとは裏腹に、重い言葉が返ってきた。
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続きの内容は
柳町達が口にした「責任」、その真意とは
長谷川コーチが明かした“打順構想”と柳町の起用法
昨年はタイトル獲得…プロ7年目の“位置づけ”は?
「責任も出てくると思うので今まで以上にしっかりと」
「責任も出てくると思うので、今まで以上にしっかりやらないといけないなと思っています。キャンプでもケアにはすごく気をつけてきましたし、怪我だけはしないように心がけていました。離脱してしまうのが一番もったいないし、せっかく頑張ってきたので」
プロ6年間で開幕1軍入りを果たしたのは2023年の1度だけ。どんな逆境に立たされようとも、自分自身の技術を上げる――。その1点から目を逸らすことはなかった。最高出塁率のタイトルを獲得した昨年を経て、胸に秘める責任感は確実に大きくなっている。「毎年頑張らないといけないので、なんとも言えないですけどね」と苦笑いしつつ、「ここからまた継続するのが何よりも難しいと思うので。そこに向けてやるだけかなと思います」と足元を見つめた。
自分だけのポジションを築き上げてきたが、目線がブレることは一切ない。“3年結果を残して一人前”と言われる世界。7年目となる今季の“位置づけ”についても、キッパリと言い切った。「変わらずに、結果を出さなきゃ。下には勢いがある若い子がたくさんいるので。走攻守のすべてにおいてしっかりとやっていかないといけないなと思っています」。隙を見せれば、奪われるのがプロ野球。それを誰よりも理解しているからこそ、オフシーズンから鍛錬を積み続けてきた。
打順を任される長谷川コーチが明かした“構想”
柳町が口にした「責任」という言葉。目を細めるのが長谷川勇也打撃コーチ兼スキルコーチだ。その自覚は2月1日、キャンプインの姿を見てすぐに伝わってきたという。「オフの間にしっかり練習してきたんだなって感じはありましたね。結果を残した中でも責任を持って、去年やってきたことが軸としてあって、さらに精度を上げてくれたなと」。より成長した姿で宮崎まで来てくれたことが頼もしかった。
昨シーズン、1番を務めたのは1度だけだった柳町だが、今春の実戦で長谷川コーチは上位打線を任せている。求めるのは、高い出塁率。その考えも、いたってシンプルだ。
「コンディションを維持して、ある程度しっかりと試合に出てくれたら、達は出塁率も安定すると思います。去年は(中村)晃とかが中軸の後ろを打っていて、彼らも塁に出るから8番や9番に得点圏で回るケースが多かった。長打力があるバッターの前で、そういう状況をできるだけ作れるように。『1番だから、2番だからというのは僕はあんまり考えていないんです。試合が始まったら、打順っていうのは崩れるものなので」
明確な役割を胸に、2026年シーズンに飛び込んでいく。大きな責任を背負った柳町が、どんなプレーを見せてくれるのか――。「開幕2軍で、毎年悔しさを痛感させられるので。今年はそういう思いをしないように、いい開幕を迎えられるように準備していきたいです」。そう語る表情は、年を重ねるごとに逞しくなっていく。
(竹村岳 / Gaku Takemura)