豪快弾も大友宗に笑顔なし「いい本塁打じゃない」 斉藤和巳監督が命名…“ボーン打法”

本塁打を放った大友宗【写真:飯田航平】
本塁打を放った大友宗【写真:飯田航平】

「いい本塁打ではない」起死回生弾も生じたズレ

 豪快な一打を放った男の表情には、高揚感のかけらもなかった。窺えたのは、自身の感覚を何度も問い直すような冷静さだった。春季キャンプ中の2月26日、B組は社会人・ヤマハとの練習試合に臨んだ。2点を追う土壇場の9回に起死回生の同点2ランを左翼に放ったのが、育成2年目の大友宗捕手だ。

 ベンチで見守った斉藤和巳2軍監督は、大友の“成長”を感じさせる一打を笑顔で評価した。「彼の魅力は長打だったりするので。ただ、守りを重視している部分もあるので、そういった意味では打つ方で結果が出ることで、守りにも影響が出てきたらなとは思います。捕手は守り、守りと言われても、バッターとして打ちたいっていうのは絶対にあるでしょうし。打つ方からいい流れが生まれたりとか、自信になったり、ちょっと気持ちに余裕が持てたりすることもあると思うので」。

 打撃の自信が余裕を生み、捕手としての成長をより加速させる。そんな青写真を描かせるほどの一発だったが、大友の口から飛び出したのは、驚きの言葉だった。

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続きの内容は

本塁打を「良くない」と断じた、大友が求める理想の打撃
和巳2軍監督と二人三脚で挑む「ボーン打法」の驚きの正体
筋力自慢の男が「筋肉に頼らない」と決意した、深い理由

「いや、当たりはもう最高だったんすけど……。自分の中ではあまりいいホームランではなかったです。やろうとしてきたことが少し出た感じでした」

斉藤和巳2軍監督と取り組む「ボーン打法」

 大友はそう切り出すと、少し困ったように一打を振り返った。試合を引き分けに持ち込んだ本塁打だったが、あくまでも練習試合。結果よりも、自身にしか感じられない“ズレ”があったことが、満足できない理由だ。

「自分がイメージしているのとはちょっと違う動きで……。結果的には最高なんですけど、もう1回同じ打席、同じボールが来た時に打てるかと言われたら、多分打てない。再現性の問題ですね」

 大友は今春のキャンプから斉藤2軍監督と共に取り組んでいることがある。それは“ボーン打法”と呼ばれるものだ。「筋肉で打つんじゃなくて、骨で打つんです」。ユニホームの上からでも分かる筋骨隆々の男が、「筋肉に頼らない」打ち方に取り組んでいる。

「骨をどう動かすかをイメージしています。斉藤監督と話している時にその話が出てきて『ボーン打法や』と言われました」。全体練習が終わった後に室内練習場で繰り返された試行錯誤と、新たな打法が大友の中には根付き始めようとしている。

「自分の中では納得はしてないですけど、結果は良かったので。そこは素直に喜んで、また次につなげていきたいなと思っています」。まだその感覚が馴染んではいないが、確かな方向性は実感している。「(本塁打は)監督のおかげです」と、感謝を口にする大友。筋肉という鎧の下で、新たな感覚を磨いていく。

(飯田航平 / Kohei Iida)