1番打者に求める役割は? 狙いは「複数得点」…長谷川勇也コーチに聞く「26年型オーダー」

栗原陵矢(左)と話す長谷川勇也コーチ【写真:栗木一考】
栗原陵矢(左)と話す長谷川勇也コーチ【写真:栗木一考】

「単発じゃなく、ワンチャンスで2点、3点取れるようにしたい」

 春季キャンプも残り1週間ほど。対外試合も始まり、ホークスは2月22、23日に野球日本代表「侍ジャパン」との強化試合を行った。今後は台湾遠征、オープン戦で実戦を重ね、3月27日のペナントレース開幕に向けて調整のギアを上げていく。

 選手のコンディションとともに注目されるのが、2026年型のオーダーだ。1番打者を誰が担い、4番には誰が座るのか。23日の侍ジャパン戦後、長谷川勇也打撃コーチに打順の構想について考えを聞いた。

 宮崎での紅白戦4試合と、代表との2連戦。ここまで毎試合のように異なるラインナップを組み、打線の繋がりを確認してきた。今季のオーダーは基本的に小久保裕紀監督が長谷川コーチに一任しており、日々の決定を任されている同コーチは現状の狙いをこう語る。

「まだ始まったばかりなのでなんとも言えないですけど、WBCのメンバーが帰ってきたときにちゃんと形としてできるように。バリエーションを今作っている感じです」

 WBC組が不在の期間に試されている数々のバリエーション。そこには従来の考え方にとらわれない、新たな「得点パターン」を確立しようとする明確な意図が隠されていた。

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続きの内容は

長谷川コーチに聞く 今季の打線で目指す「得点の形」とは
全ての実戦で上位起用。1番候補に浮上するあの選手
近藤健介の1番起用は? コーチが語る現在の考えは…

 近藤健介外野手、周東佑京内野手、牧原大成内野手らWBC出場組が合流した際、すぐさま最適解を導き出せるよう、この春の実戦を“実験の場”として活用している。

 シーズンを見据え、同コーチが重視するポイントはどこにあるのか。
「ウチはいいバッターが多い。単発じゃなく、ワンチャンスで2点、3点取れるようにしたいな、と思っています」

 1点ずつ積み重ねるのではなく、1度の好機で複数得点を奪う。上位から切れ目なく厚みを持たせ、繋がりの中で大量点を生み出す。それを可能にする打線を日々、模索している状態だ。

 鍵を握るのが、打席が多く回ってくる上位陣、とりわけトップバッターだ。日本球界では俊足の選手を置くイメージが根強いものの、米大リーグではドジャースの大谷翔平投手に代表されるように、チーム最強の強打者を1番や2番で起用することが常識となっている。

 先陣を切る役割を問うと、長谷川コーチは単純明快に「出塁です」と断言した。

 その言葉通り、柳田悠岐外野手、山川穂高内野手、今宮健太内野手のS組が合流した19日の紅白戦以降、オーダーには明確な意図が浮かび上がっている。同日は1番に野村勇内野手とジーター・ダウンズ内野手、2番に川瀬晃内野手と柳町達外野手を起用。翌20日は主砲の柳田と柳町、野村と栗原陵矢内野手が1、2番に入った。侍ジャパンとの強化試合でも、22日は柳町と野村、23日はダウンズと柳町が上位に名を連ねた。

 中でも全実戦で1、2番で起用されているのが柳町だ。昨季は出塁率.384をマークし、自身初のタイトルを獲得。決して俊足ではないものの、まさに長谷川コーチの描く「出塁」を体現できる存在と言える。侍ジャパンとの2試合でも6打席で5出塁と持ち味を存分に発揮した柳町を柳田や野村と組ませることで、上位に好打者を並べようという意図が透けて見える。

 昨季は全143試合中85試合で周東が先頭打者を務め、次いで多かったのは野村の30試合。柳町の1番起用はわずか1度にとどまっており、今季は前年と異なるアプローチになっている。

 さらに、ホークスには通算出塁率.417を誇る近藤も控えている。強化試合の2試合とも侍ジャパンでリードオフを担った近藤の1番起用の可能性について「ちょっとそれはこれから考えます、としか今は答えられないです」と長谷川コーチは含みを持たせた。4番に関しても「ワンチャンスで複数得点」の哲学のもと、柔軟な配置となりそうだ。

 主力が揃わない現状では、完成形はまだ明確に見えてこない。ただ、長谷川コーチの頭の中では、近藤や柳町、柳田、栗原ら球界屈指の強打者たちを上位から繋いでいく、圧倒的に分厚い並びが思い描かれている。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)