同学年ルーキーが“二塁挑戦”…廣瀬隆太が明かした心境「毎日が不安」 首脳陣が見たかつてない変化

  • 記者:飯田航平
    2026.02.23
  • 1軍
廣瀬隆太(左)と高橋隆慶【栗木一考】
廣瀬隆太(左)と高橋隆慶【栗木一考】

察知した変化「廣瀬も負けてない」

 その言葉は繊細で、痛いほどに正直だった。「毎日が不安ですよ」。そうこぼしたのは、3年目を迎える廣瀬隆太内野手だ。怖いもの知らずだった1年目からはかけ離れた心境。その背景に少なからず影響しているのが、ドラフト5位ルーキーの高橋隆慶内野手の存在だ。

 春季キャンプをB組からスタートさせた高橋は、第2クールからA組に合流。以降も実戦形式の練習でアピールを続け、A組に帯同し続けている。そんな中、本職が三塁手である高橋に対し、首脳陣が打診したのが「二塁への挑戦」だった。同じポジション、同じ年齢。意識しないわけがない。


「ニュースとかで見たら正直『うわっ』ってなりますけど。なりはしますけど……」。廣瀬は隠すことなく、自身の立ち位置に対する不安を認めた。しかし、その感情が背番号33を突き動かす原動力にもなっている。葛藤は行動となって表れた。2年目までにはなかった廣瀬の変化。それを誰よりも敏感に汲み取っている1人の首脳陣がいる。

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続きの内容は

本多コーチが絶賛する「なにくそ」の精神
不安を力に変える廣瀬が明かした「意識の集中点」
牧原不在で廣瀬が語る「チャンスとピンチ」の具体的な中身

本多コーチが感じた「何かを得たい」

「廣瀬も負けていないと思います。高橋がセカンドをしていることを、目の前で見ていますから。朝のアーリーワークでも自分から『お願いします』と言ってくる。昨年なかったものが今年はある。そういった面で1年1年成長しているというか、『何かを得たい』というものを感じます」

 こう話すのは本多雄一内野守備走塁兼作戦コーチだ。アーリーワークでは、守備に時間を費やす廣瀬。ハンドリング、捕球姿勢、そして課題のスローイング。地味な基礎練習を反復する。

 細かいミスはまだある。グラブからボールがこぼれることもある。だが、本多コーチが評価しているのは技術の部分ではない。「ミスを成功に繋げようという意思が現れているので。それはとても大事なこと。『なにくそ』というか、負けられないという思いは感じますね」。24歳の変化を本多コーチは見逃さなかった。


 廣瀬も自身の感情と必死に向き合っている。「人を気にしても、そこはコントロールできないじゃないですか。だから、いつも自分の能力を少しでも上げることに集中しています」。そう言い聞かせるように語る。評価や起用は首脳陣が決めること。できることは、昨日の自分より少しでも上手くなることだけだ。

 現在は牧原大成内野手がWBC出場のためチームを離れている。この不在期間が何を意味するか、廣瀬自身が誰よりも理解している。牧原が戻ってくるまでの時間は「チャンスでもあり、ピンチでもある」。アピールできなければ――。その危機感は、年数を重ねるごとに色濃くなっている。

「やるしかないです」。最後に廣瀬はそう言い切った。ノックを受ける時には、これまで以上に声を出してボールを呼ぶ。泥にまみれるその姿は、間違いなく昨年よりもひと回り大きくなっていた。自信を持ってプレーするために、ただひたすらに目の前の練習に全力を尽くす。

(飯田航平 / Kohei Iida)