朝5時30分から始まる一日…「ほとんどが技術練習」
鷹フルは、全国各地で自主トレに励むホークスナインの様子をお届けします。今回は滋賀県の甲賀スタジアム、草津グリーンスタジアムを中心に汗を流す野村勇内野手についてお届けします。プロ5年目で初の単独自主トレ。明かした胸中は「不安で仕方ないです」――。眠りに就く前、脳裏をよぎる思いを打ち明けました。
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今月5日から始めた滋賀県での自主トレを、22日で打ち上げた。18日間の鍛錬は6勤1休というハードな日々。毎朝5時30分に目を覚ますと、2時間のウエートトレーニングから一日がスタートする。「あとはボールを使った技術練習がほとんどですね。筋トレは基本的に毎日やりたい派なので」。午前中は守備力の向上に努め、ランチの後は太陽が沈むまでひたすらバットを振り続けてきた。
昨年は126試合に出場して打率.271、12本塁打、40打点。多くの部門でキャリアハイを更新し、2026年は5年目のシーズンを迎える。「打っていかないと試合には出られないので。そこで差をつけられたらと思っています」。独立リーグ「滋賀ハイジャンプス」のメンバーと自主トレを行っているが、NPBの選手は野村1人。プロとして“孤独”と向き合う中、口にしたのは強烈な本音だった。
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続きの内容は
小久保監督が示した「勝負の相手」とは?
夜の孤独な不安を打ち消す「言葉」
なぜ「守備の基本」に立ち返ったのか
「そう考えないと不安で仕方ないです」
「去年(の自主トレ)は今宮さんのところでしたけど、先輩たちが何年もやってきた自主トレなら間違いないじゃないですか。『このメニューをやっていたら、これだけ打っていたらキャンプインも大丈夫』って。その練習をこなしていればいけるって思えるんですけど、今は一人なので。正直、不安ですね」
今までは用意してもらったメニューを信じて、必死に向き合ってきた。しかし今は、やりたいことに打ち込める一方で、正解かどうかは実戦練習に入るまで分からない。「今は1人なので、夜に『俺、ほんまにきょうやり切ったかな』『このままでキャンプイン大丈夫かな』って毎日思います。めっちゃ不安に駆られます」。ベッドに入って目を閉じる。眠りに就く前、自らに言い聞かせる言葉がある。
「僕が一緒にやらせてもらったのはマッキー(牧原大成)さんのところと、今宮さんのところですけど。『あれよりやっているかな』『どれくらいいけてるんやろう』って。だから早起きするのも『俺はあの自主トレよりも早く起きているし、練習しているし、トレーニングもしている。よし!』みたいな。そう考えないと不安で仕方ないです」
シーズン中から、SNSにあふれる情報や記事は見ないようにしているという。「何かが目に入ってきて、嫌な気持ちになってもどうしようもないじゃないですか」。かつては今宮から“芯がない”と厳しく言及されたが、昨季中に大きく成長を遂げたのは間違いない。やるべきことに集中する――。ある程度の情報はシャットアウトしながら、単独での自主トレを過ごしてきた。
ポジションについて小久保監督から「どうするんや?」
2025年は遊撃がメ-ンだったが、二塁で19試合、三塁としても53試合に出場した(途中出場、守備変更を含む)。ユーティリティ性も持ち味の1つだが、昨秋に小久保裕紀監督から“意思”を問われた。「そんなにガッツリ話したわけじゃないですけどね。シーズンが終わってゴルフの時くらいに『どうするんや』って言われたので、『ショートでいきます』と。『そうやろ。健太と勝負やな』って感じやったと思います」。強い決意を胸に、勝負の春季キャンプに飛び込む。
「去年よりも今年の方が余裕で大事です。死に物狂いでレギュラーを取りにいきます。大チャンスだと思いますし、ここで取らないとあかんでしょう」
滋賀で行なった18日間の鍛錬。テーマに掲げてきたのは、守備に対してもう1度基本から向き合うことだった。「守れなかったら自分のことでいっぱいいっぱいになっちゃう。守備ができればバッティングにも、その試合全体にももっと集中できると思うので」。誰も助けてはくれない厳しい世界。野村勇は今、プロ野球選手として一回り強くなろうとしている。
(竹村岳 / Gaku Takemura)