海野隆司の忘れられない「7・1」 胸にしみた有原航平の“たった一言”…「嬉しかった」

有原航平(左)と海野隆司【写真:矢口亨】
有原航平(左)と海野隆司【写真:矢口亨】

退団の有原航平から海野隆司が学んだこと

 エースを勝たせないといけない――。そんな重圧が28歳を成長させた。自由契約となっていた有原航平投手が昨年12月28日、日本ハムに復帰することが発表された。2025年シーズンは14勝を挙げ、2年連続の最多勝に輝いた右腕の流出が決まる直前、偽らざる思いを明かしたのは海野隆司捕手だった。

 海野は昨季、開幕マスクこそ逃したが、4月11日のロッテ戦(ZOZOマリン)で有原とバッテリーを組むと、同25日の楽天戦(楽天モバイルパーク)でコンビとして初勝利。最終的にシーズン終了まで“相棒”として有原を懸命にリードした。

 有原が絶大な信頼を置いていた甲斐拓也捕手がFAで巨人へ移籍。新たな相棒と迎えた2025年は5月に登録抹消を経験し、8月には3試合連続黒星を喫するなど、決して順風満帆な1年ではなかった。それでも、最終的に14勝を挙げ、日本一に貢献。ともにバッテリーを組んだ海野が語ったのは、エースから学んだこと、そして忘れられない一言だった。

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続きの内容は

有原が明かした、捕手・海野を深く「信用」した理由の核心
運命の日本ハム戦で海野が貫いた「大胆すぎる配球」の全貌
14勝エース有原が海野に伝えた「忘れられない一言」

「本当にいっぱいありますけど、とにかく我慢すべきところは我慢することが大事なんだと。ピンチの場面で我慢して同じ球を続ける勇気。そういうのは自分もピッチャーを信用しないといけない。有原さんと組んで特に感じたことですね」

 開幕マスクは谷川原健太捕手だったが、チャンスはすぐに巡ってきた。有原が2試合連続で大量失点したことを受け、4月からは海野がマスクを被った。コンビで白星を積み重ねる一方で、苦しい時期とも向き合った。

「自分が、というよりは本当に有原さんに勝ちをつけたいという思いでやっていたので。勝ちがつくのとつかないのでは本当に違う。ピッチャーにとっても精神的に楽になるので、何とかしたいという思いでした」

手応えを感じた一戦…試合後に忘れぬ有原からの言葉

 そんな海野には忘れられない試合がある。7月1日、東京ドームで行われた首位・日本ハムとの3連戦初戦。有原は107球を投げ抜き、9回11奪三振無失点の熱投で今季5勝目を挙げた。相棒としても、この試合は大きな手応えを掴んだ一戦だった。

「毎試合、話をしながらやってきて、有原さんのことを少しずつ分かってきたタイミングだったので」。6回は全てチェンジアップという大胆な要求で三者凡退。7回以降はツーシームとフォークのほぼ2球種で攻めるなど、徹底した“我慢の配球”で勝利をもたらした。

 試合直後、有原からかけられた言葉は今でも鮮明に覚えている。「『本当にありがとう』って。その一言は嬉しかったですね」。短い言葉に詰まっていた想いを、海野はしっかりと受け取った。

 2年連続の最多勝を手にした有原は今年、6年ぶりに日本ハムに復帰する。ホークスにとって手強い相手になることは間違いない。ただ、右腕から学んだ「我慢」と「信頼」を胸に、海野は正捕手への道を突き進む。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)