若手枠を「空けない」理由 リーダーの“複数制”にも言及…小久保監督新春インタ

小久保裕紀監督【写真:栗木一考】
小久保裕紀監督【写真:栗木一考】

春季キャンプの概要に言及…台湾遠征は「S組連れていく」

 リーグ3連覇、そして2年連続の日本一に挑む2026年のホークス。小久保裕紀監督の新春特別インタビュー後編をお送りします。指揮官が明かした若手起用の構想、そしてチームとしての「あるべき組織像」。小久保監督の驚くべき将来的視点とは――。読み応え十分のインタビューをお楽しみください!

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続きの内容は

監督が「いらないチーム」…究極の組織論とは?
2月導入の「キャプテン制ではない」新組織とは?
「2000本は無理」現在の選手取り巻く環境への”本音”

――春季キャンプの流れは基本的に変わらない?
「(2月)14日からS組が合流するのかな。13日の夜に入ってくるんじゃないですかね。それまではまだ、どこでするかどうかは報告が来ていないんですけど。まあどこでしようが、自分が一番調整しやすい方法を選んでくれと言っているので。WBCに選ばれた選手たちは、彼らのやりたいように。チーム(ホークスの春季キャンプ)に入ってやりたいと言うなら、それを最優先するということも伝えているので」

――S組の実戦出場はいつごろになりそうか?
「宮崎では(試合に出すことは)考えていないですけど、(2月25、26日に試合が予定されている)台湾に連れていくのは連れていくので。そこで出るかどうかは別にして、台湾は連れていくというのはS組には伝えていますね」

――2025年シーズンは「若手の育成を捨てた」と話していた。今年の理想としては若手を使っていきたい?
「いや、無理くりその枠は空けないでしょうね。今年みたいに(主力が)いなくなったら、そこに使うっていうことは出てくるでしょうけど。(枠を)1つ空けてという考えはないかな。そこを空ける前に、使わないといけない選手が今年生まれたということなので。若手より中堅がしっかり数字を残したので。いきなりそこを飛び越えて、『じゃあ柳町や勇を使わずに、ショートはイヒネ(・イツア)でいこうか』とか、『笹川(吉康)でいこうか』っていう考えはないですね」

――あくまで奪い取ってもらわないと。
「そうですね」

――各球団から追われる立場として感じることは?
「そこは今年(2025年)もあまり感じなかったですけどね。そこまでの余裕もなかったですよ。自分のチームのことで(精一杯で)。オフが始まったら補強するポイントも各球団まちまちで。もちろん打倒で来られるでしょうけど、まずは自分のチームがどういう戦いをするかというのを6月くらいまでに固める作業のほうが大事ですからね。だからあまりそこはあんまり感じないです」

――来年は一度壊して、また固める作業になる。
「そうですね。それこそ孫(正義)オーナーが『目指せ世界一』という、未来永劫変わらないようなスローガンのもとでスタートしているので。やっぱり進化するためには、同じことをしていたり、失敗を恐れたらだめだと思うので。トライアル&エラー、常にそのサイクルだと思うので。だから来年、トライアルには当然エラーが出るでしょうから。そのエラーを早めに修正をかけてというチームや組織のほうが、発展していくと思うので。だからこそ、僕自身が守りに入らないようにってのは大事かなと思いますね」

――2025年の経験がまた生きてくる。
「あとは日本一のパレードのときに、1時間弱くらいオーナーの横に座らせてもらった時に……。現状で満足するオーナーじゃないですからね。ソフトバンクのグループ自体がそうですから。そこにホークスというチームがあるわけですから。それはやっぱりチャレンジ抜きには監督はできないでしょうね。怒られますよ」

――オーナーの言葉を聞くと、自分自身もさらに引き締まる思い。
「もちろん。僕が(現役時代に)4番になったときが王(貞治)監督で、今は(孫)オーナーという。もう比べてもとても追い抜いたりとか、数字で並ぶこととかはないんですけど。でも組織が良くなるために、チームを預かっている立場からすると、それば常に頭にありますね。それはもう、この組織に携わってる限りは、責任がついて回るのは当たり前じゃないですかね」

小久保監督が掲げる「持続的に強いチーム」とは

――監督に就任されて2年が経ったが、組織として良くなったなという実感は?
「そうですね。あとは選手たちがね、究極は自分たちで自走していけることが理想だと思うので。そこに主体となる選手たちが増えてくることによって、持続的に強いチームが可能になるんじゃないですか」

――究極は監督が要らないチーム。
「究極はそれだと思いますね。僕のあとに誰が(監督を)しようが、そういう文化がしっかり根付いてるってのが、本当のプロスポーツの中では強い組織だと言われてるのは、もう実証されつつあるみたいですからね。あとはリーダーを1人に絞るよりは、複数制にして役割を与えたほうがいいっていうこともあるので。それはちょっと来年2月に、1つ取り組もうかなっていうところがあるんでね」

――キャプテン制ではない?
「キャプテン制ではないです。今は選手会長1人が全部の役割(をこなす)みたいな感じなので。これはあまり、チームスポーツの組織として良くないっていうのも証明されているので。役割をはっきりさせたほうが、よりスムーズにいくかなというところで。今はまだ完成していないんですけど、それを作っているので。キャンプのときに選手たちと一緒にやります」

――選手層が厚くなったからこそ可能?
「選手層が厚くなったからというよりは、その選手たちが本当はどう思われているんだろうというのが大事かなと思うので。それを知ったうえで、役割を与えることによってスムーズに。今はまだトップダウンまではいかないですけど、任せられるところは任せますけど、基本的には首脳陣が考えたことを下に伝えるという形なので。その方が正しいと思って今流行っていますけど、逸れには限界があると思うので。選手たちが自走できることが究極の目標だとすると、監督が誰であろうとも、持続的に強いチームであり続けるんじゃないかというところからですね」

――選手層が厚くなったからこそのリーグ連覇であり日本一だった。
「それはもちろんありますけどね。ただ、昔僕も言われましたけど『精神的支柱』みたいな人に頼っていると、その人が抜けたらどうなるんですかと。その役割が年齢的に幅広くいるほうが、みんなが引退していく時にうまく回っていく方が選手にとってはいいですよね。そこは1人に依存するというのは組織にとってはよくないのかなと思いますね」

――なかなかイメージが浮かびづらい。
「でしょうね。まだ僕の脳の中だけなので。やることは決まっているんですけど。形が見えてからですね。今は大枠です。選手同士で自走できる大枠を作ることが究極の目的です」

――今の選手たちを取り巻く環境は、小久保監督が現役時代と変わっている?
「組織として変わっていますよね。練習をしたくても、疲労が抜けないとパフォーマンスが下がって怪我のリスクが高まるとなると、練習させてもらえないじゃないですか。そもそも組織の考え方が変わったなと思いますね。僕は今だったら2000本(安打を)打てていないと思いますよ。練習させてもらえないから。だから陰でめちゃくちゃ練習はしたと思いますけど。(王)会長も言っていましたけど、練習していないやつが成績を残せるわけがないので。だから練習はしなくちゃいけないですよね。だからあまり型にはめられず、今年で言えば宇野(真仁朗)や石見(颯真)みたいに、こっちが止めなくちゃいけないみたいな。孤立することを恐れず、群れることへの慣れを戒めるというのがないと上がってこれないです。ホークスのルールを守ってくれれば、後は何をしてもいいので。そのくらい突き抜けた練習量をやれる選手じゃないと上がってこられないと思いますね」

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)