寺原コーチ&川原コーチの2025年「突き詰めていく必要が」
5年ぶりの日本一に輝いた2025年、鷹フルではコーチ1人1人にも焦点を当ててシーズンを振り返っていきます。今回は寺原隼人3軍投手コーチと、川原弘之R&Dグループ投手担当コーチが登場。大きな可能性を秘めている育成の“有望株”とは? 川原コーチは「指導者としての喜びを知りました」―――。ホークスベンチが涙した感動の復帰戦を振り返りました。
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続きの内容は
・寺原コーチが来季目指す「今年とは別物」の指導法
・藤原大翔は「まだまだ」支配下へ欠かせない絶対条件
・大越監督以外も涙した風間球打の「感動の復帰戦」
○寺原コーチ
――寺原コーチにとって、2025年はどんなシーズンだった?
「今年は3軍で試合数も多かったので。成長した面もありますけど、選手を2軍に上げるというか、急激にガッと上がる(成長する)選手を作ることができなかったのは反省です。あとはコミュニケーションですね。取れているのは取れているんですけど。もっと選手の方からやりたくなるように、自分から持っていけたらよかったなと思っているので。反省点は多いですよ」
――シーズンを振り返って、印象に残っているシーンは。
「先発したことのない選手に経験をさせてみたり、そういうことはしましたね。複数イニングを投げる大変さだったり、先発として準備する難しさがわかった選手はちらほらいるので。そういうことに関してはよかったのかなと思いますけど」
高卒2年目の藤原は「まだまだやれますよ」
――2年目の藤原大翔投手はファーム非公式戦で21試合に登板して71イニングを消化。71奪三振を記録するなど、成長を見えた1年だったのでは。
「藤原はもともとポテンシャルを持っているので。今年の成績に関しては全く驚かないです。むしろまだやれるって感じ。まだまだ3軍レベルの話だし、2軍に行ったら打たれていたので(ウエスタン・リーグでは2試合の登板で防御率4.50)。まずは2軍で成績を出せる力をつけていかないと。今のままじゃなくて、持っているポテンシャルをもっと出せるようにしていきたいですね」
――2軍戦では育成選手も1試合につき5選手しか出られない。
「難しいですよね。今年は支配下の選手が多かったので、2軍で育成選手が投げる機会はなかなかなかった。その中でも1回チャンスをもらったのなら、それをものにしないといけない。藤原だって、他の投手だってそうです。上がってチャンスが来た時に結果を出せるかどうか。それは支配下になっても同じことなので。3軍なら、なおさらだと思います。掴み切れるように、突き詰めていく必要はありますよね」
――育成選手なら、それくらいの取り組みをしないといけない。
「そうじゃないと、支配下は到底無理だと思います。これだけ人数が多い中で、育成ではずば抜けた結果を残さないと支配下にはなれないので」
――3軍で斉藤和巳監督とのやり取りも多かったと思うが、指揮官の存在は。
「やっぱり和巳さんはミーティングをしたり、選手とのコミュニケーションを上手く取られていました。和巳さんの姿や発言っていうのは、選手たちにとってプラスになった1年だったかなと。それは間違いないです」
――来季も3軍で投手コーチを務める。どんなシーズンにしたい?
「来年に関しては、もっと変わったところというか。今年とは別物のような感じでいきたいとは思っています」
――2023年から指導者としてホークスに復帰した。独立リーグの経験も踏まえ、選手に厳しく接している印象がある。
「1年目の時は、まだ来たばかりで様子も見ながらでした。その時は若田部(健一)コーチがいたので、見ながら勉強させてもらっていました。去年は2軍、今年は3軍、来年また3軍なので。今年とは全く違う接し方ができればと思っています」
――厳しく、という意味?
「もちろん、僕の中ではより厳しくとは思っています」
“イップス”からの復帰戦…風間球打の姿に涙
○川原コーチ
――川原コーチにとって、今シーズンはどんな1年だった?
「新鮮でしたね。技術にたくさん触れて勉強することもできましたし、4軍の試合ではありますけどベンチに入ったり、マウンドに行ったりもしたので。初めての経験で今までと違った角度で野球を見ることができましたし、選手との接し方も変わりました。楽しかったかなというのが一番です」
――大越基4軍監督とはどんなコミュニケーションを取っていた?
「基本的に『やりたいようにやっていいよ』というスタンスだったので。僕も選手に対してやりたいアプローチができましたし、(フェリペ・)ナテルコーチと一緒に頑張ってきたので。僕の中で勉強になった1年でもあります」
――指導者として心掛けていたことは?
「選手がやりたいことをやってもらうというのは一番心掛けていました。いろいろ思うことはあったんですけど、それを上から言うんじゃなくて、話し合いながら作っていけるようにしていました」
――4軍戦は1年で16試合だったが、印象に残っているシーンなどは?
「印象に残っている試合で言えば、今年で辞めちゃいますけど(風間)球打ですね。怪我からの復帰戦(6月21日、大分B-リングスとの4軍戦)は感動した試合の1つかなと。どうなるんだろうみたいな不安の中で本人もマウンドに上がったと思うんですけど。しっかり抑えてくれたのはよかったですし、感動しました。指導者としての喜びを知ったシーンでした」
――大越監督は泣きながら風間投手とハグをした、と。
「監督もですけど、周りの人も泣いていました。僕も『球打すげえな』って思いましたし、その試合はすごく覚えています。プロとして結果を出すだとか、そういうことは1回置いておいて、投げられなかった人があそこまでいけるっていうのはすごいことだと思うんです。球打の努力も見ていましたし、また試合で投げられるようになったことがよかったです」
(竹村岳 / Gaku Takemura)