覆された評価…「GG賞でもおかしくない」 大西コーチが柳町達に伝えたい“ありがとう”

大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチ【写真:栗木一考】
大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチ【写真:栗木一考】

力強く即答「会心のシーズンだったんじゃない?」

 5年ぶりの日本一を掴んだホークス。来季のリーグ3連覇に向け、選手たちはオフシーズンを過ごしています。鷹フルでは、首脳陣1人1人にもスポットライトを当てながら、2025年を振り返っていきます。大西崇之外野守備走塁兼作戦コーチにとっては、加入1年目のシーズン。ゴールデン・グラブ賞を獲得した周東佑京内野手とともに、「頑張ってくれた」と評価したのは柳町達外野手でした。春季キャンプから感じていたという28歳の成長とは?

――大西コーチにとっては、どんなシーズンだった?
「会心のシーズンだったんじゃない?」

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続きの内容は

柳町達を覚醒させた、春季キャンプでの「守備への意識改革」とは?
予想外の怪我人ラッシュを乗り切った、首脳陣が知恵を絞った「秘策」
周東佑京のGG賞は当然?コーチが断言した「圧倒的な実力」の根拠

――その思いは?
「シーズンはやっぱり長いから。故障者が出ないに越したことはないし、出ることも想定しながら挑んでいるんだけど。本当に想定外くらいの怪我人が出た。力のある選手はたくさんいるけど、本来なら後から(試合に)出ていく選手たちが頑張って、なんとか戦いを盛り返してくれた。力量を見極めて、(メンバー表に)名前を記した監督をはじめ、『これがいいんじゃないですか』と首脳陣もアイディアを共有した。これ以上のないほど知恵を出し合ったシーズンやったかな、と」

――レギュラーシーズンの半数、72試合以上も外野を守った選手が4人いた。(周東選手、柳町選手、緒方理貢選手、佐藤直樹選手)
「キャンプの時に、基本的にセンターは佑京で決まった。あとは柳田(悠岐)がレフト、近ちゃん(近藤健介)がライト。この3人が確定っていうような状況の中、柳町と正木(智也)はレフトとライト。緒方と川村(友斗)、(笹川)吉康は全部のポジションで準備してもらった。直樹もセンターとライトっていう感じで、1人1人のポジションを明確にしながら練習、打球捕をキャンプからやってきた。実際に試合が始まったらその通りになって、いろんなところを守らないといけなかったし。何かがあった時のために、すぐに入っていけるだけの準備をしていた。最悪を想定して守ってもらっていたけど、その甲斐はあったんじゃないかな」

――ホークスの指導者となって1年目。このチームらしさというのはどんなふうに感じた?
「僕はジャイアンツから中日に行って、ホークスに来させてもらったけど。選手の現状の力としては、経験値もある選手も多くて、野手に関しては本当に揃っているなと。さすがやなっていう選手は、やっぱり多かったね」

――巨人でコーチを務めていた時代も、すごい外野陣だった。その経験を踏まえても「会心」と今季は胸を張れる。
「あの時もすごかったよね。長野(久義)がいて(高橋)由伸、松本哲也、矢野謙次であったり鈴木尚広もいた。それだけの役者は揃っていたけど、今年で言えば頑張ってくれたのは柳町ですよね。タイトルを獲るまで頑張ってくれたし。守備面で言っても周東は決まりやったけど、『あとはどうやろう』って思いながら僕も取り組んでいた。その中で(柳町も)ゴールデン・グラブでもおかしくないくらい守ってくれたと思うよ。もちろん直樹、緒方、川村、吉康も頑張ったし、牧原(大成)も守ってくれたからね」

柳町達【写真:小林靖】
柳町達【写真:小林靖】

印象に残っているのは9月2日のオリックス戦

――周東選手は2年連続でゴールデン・グラブ賞を受賞。パ・リーグの外野では得票数も1位だった。
「彼は放っておいても大丈夫やから。誰がコーチでもゴールデン・グラブですよ。まあ本当に故障者が出ても、みんなで勝ち取った優勝、日本一やったかなと思いますね」

――印象に残っているシーンなどは?
「周東で言えばあのゲームセットのファインプレーね(9月2日のオリックス戦)。あと、自分が思っていたよりも頑張ってくれたのが柳町やったね。僕も今年から入ってきて彼の守備を初めて見たけど。キャンプから試合を見ていて、余裕が出てきてすごく上達した」

――柳町選手は外野手としてチームトップの123試合に出場。刺殺数「207」は、「249」を記録した周東選手に次ぐチーム2位だった。
「故障もなく頑張ってくれたし、出塁率のタイトルまで獲ってくれた。本当に頑張ってくれたし、『ありがとう』と言いたいよね」

(竹村岳 / Gaku Takemura)