木村大成と風間、同期の“特別な関係”
「寂しいですよね。やっぱり思い出がたくさんあるので」。どこか懐かしそうに、惜別の思いを語ったのは木村大成投手だった。2021年ドラフト3位で入団した左腕は、高卒4年目のシーズンを終えた。このオフ、同期の仲間がまたチームを去った。
木村大は今シーズン、2軍で36試合に登板して3勝2敗、防御率2.15と好結果を残した。7月には登板機会はなかったが“2日限定”で1軍初昇格。「来年に間違いなくつながる1年でした。でももう5年目になりますし、危機感はあります」と2025年を振り返る。
そして今オフ、同じ2021年ドラフトの1位で入団した風間球打投手が戦力外通告を受けた。木村大にとって、右腕は「当然意識する存在」だった。秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」で交わした“最後の挨拶”、そして10月中旬に行われた同期会――。今だから明かせる、同期への特別な思いとは。
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続きの内容は
・風間球打がスーツ姿で語った「惜別の言葉」
・互いをライバル視した二人が「多くを喋らなかった」理由
・寮のサウナ・風呂で繰り広げられた「悪いこと」の真相
「(風間が)落ち込んでいないか不安だったんですけど、結構明るくて前向きな感じだったので。『お疲れ様、お互い頑張ろうぜ』って話をして笑顔で見送りました」
戦力構想外通告の直後、フェニックス・リーグにスーツ姿で挨拶に訪れた風間とは、多くは語らなかったものの言葉を交わした。ノースアジア大明桜高時代に最速157キロをマークし、鳴り物入りでドラフト1位入団した風間。一方、北海高時代に甲子園へ春夏連続出場し、屈指の左腕として注目を集めた木村大。高卒入団の支配下は同期で2人だけだったこともあり、“特別な存在”だった。
「『あんまり風間と一緒にいないよね』って実は結構みんなから言われていたんです。性格も少しタイプが違ったりするので。でも高校時代からお互いを知っていて、意識もして、ライバルと思っていたから逆に多くを喋らなかったっていうのもあるのかもしれないです」
入団直後の新人合同自主トレから「当然意識はしていましたし、負けたくないと強く思っていた」と振り返る。しかし、2人とも怪我に苦しむ時間が長かった。「どちらかが怪我をしていたり、リハビリ、3、4軍で離れていたり」と、“すれ違い”の時間が多かった。それでも常に気になる存在であり、大事なライバルに変わりはなかった。
語った同期との思い出「楽しかった」
10月中旬には、筑後にある蕎麦屋で2003年世代の同期会が開かれた。左腕は懐かしそうに同期との思い出を振り返った。「寮のサウナで騒いだり、風呂で泳いだり悪いことばっかりしてましたね(笑)。でも楽しかったです」。入団直後から仲が良く、オフの日には買い物へ行くなど、一緒に行動することが多かった。
2021年のドラフトは支配下、育成を合わせて計19人が指名され、うち高卒が11人だった。昨季は加藤洸稀、佐久間拓斗、瀧本将生、三代祥貴が戦力構想外となり、風間が育成再契約となった。今オフは風間と加藤晴空捕手が契約を結ばない旨を通達された。
「同期が打ったり抑えたりしたら、他のチームメートとは違う感情で特別うれしかったりしました。本当に寂しいですよね。会えなくなるわけではないですけど、集まれる機会もたぶん少なくなると思うので」
プロ野球は入れ替わりが激しい厳しい世界。高卒4年目のシーズンが終わり、左腕は気を引き締める。「来年こそは1軍でしっかり投げられるように」。同期の絆は変わらない――。仲間の気持ちも背負って木村大成は腕を振り続ける。
(森大樹 / Daiki Mori)