今宮健太&山川穂高が若手に“提言” 「物足りなさはあります」…宮崎で見えた現状

今宮健太(左)、山川穂高【写真:長濱幸治】
今宮健太(左)、山川穂高【写真:長濱幸治】

10日のオフにはともに食事会を開催

 同学年のベテラン2人が今の若手に感じたもの、そして伝えたいことは――。15日から開幕するクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ。決戦に向けた調整のため、「みやざきフェニックス・リーグ」に参加していたのが今宮健太内野手と山川穂高内野手だった。

 今宮は同リーグが開幕した6日から計5試合に出場。うち4試合で遊撃を守り、バットでも快音を響かせた。山川は4試合に出場し、12日のヤクルト戦(西都)では3ランを放つなど、両者ともに順調な調整ぶりを見せた。1週間にも満たない短い期間ではあったが、10日のオフには2人ともに後輩を連れて食事に出かけていた。自らの調整が第一であるにもかかわらず、その姿からはチームの将来への思いが感じられた。

 練習時や試合中にも若手とのコミュニケーションを測っていた2人から見た若鷹の姿はどのようなものだったのか。「まあ、物足りなさはありますよ。それはすごくあります」――。静かな口調でそう語ったのは、今宮だった。

会員になると続きをご覧いただけます

続きの内容は

・今宮選手が語る「物足りなさ」の真意
・山川選手が若手に贈る「練習の極意」
・飛躍を掴む若鷹に必要な「質と量」とは

「まあ、見ていて物足りなさはありますよ。それが何かっていうのは言わないですけど、それはすごくあります。これで1軍の大事なところで(しっかりプレーできるのか)っていうところはすごく感じるので。上から目線ではないですけど、もっと頑張ってほしいなとは思います」

 若手と行動をともにし、同じグラウンドに立った今宮はそう振り返った。ホークスの主力かつ、精神的支柱でもあるチームリーダーの言葉。「上から目線ではない」と前置きしつつ、普段はなかなか接することのない若手の姿はどこか頼りなさげに見えていた。

山川の「イッヒー」呼びに透けて見えた思い

 フェニックス・リーグの前半期間中、ベンチで一番声を出していたのが山川だった。イヒネ・イツア内野手を「イッヒー」と呼ぶなど、自ら若手に歩み寄って距離を縮めようとしていた33歳。「普段通りですよ」。さらりと口にした主砲が続けたのは、ある“提言”だった。

「若いうちというか、いつでもそうですけど、やっぱり練習をした方がいいんじゃないかと思いますね。練習にもいろんなものがあって、試合で結果を出すためにやるべきことと、少し先を見据えた練習ですよね。3冠王になりたいのなら、3冠王になるためのトレーニングをしなきゃいけない。結果を出すことも大事ですけど、それを重視しすぎるとスケールが小さくなってしまうので。バランスは難しいですけど、やっぱりやらないといけない」

 山川が口にしたのは練習に対する“目的意識”だった。何を目指し、日々をどう取り組むのか――。「何かコツを掴んだり、きっかけがあったら爆発的に打ちそうな選手っていうのはいっぱいいるんです」。若手の潜在能力は認めつつ、殻を破るには相応の「質と量」が必要だと指摘した。

「僕はコーチじゃないので。聞かれたら『俺はこうしてたよ』とかくらいは言いますけど」と語った山川。今宮とともに口にしたのは“苦言”ではなく、あくまで“提言”。言葉を目にした若手が何を思い、どう行動するのか。飛躍への糸口は自ら探し出すしかない。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)