1軍に帯同する打撃投手8人が語った名場面
ホークスは2025年、パ・リーグ連覇を果たしました。鷹フルは裏方さん23人に「記憶に残った名場面」を調査。最終回に登場するのは8人の打撃投手です。「いつもは無表情」のベテランが笑みをこぼした瞬間に、優勝争いの中で窮地を救ったチームリーダーの一打とは? “ホークスを一番近くで見ている人”の視点から、今季の名場面を振り返ります。
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続きの内容は
・今宮・中村、ベテランが示す背中
・中村晃「無表情」に秘めた想い
・川瀬サヨナラ打、裏方の見た真実
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【打撃投手】
・濱涯泰司1軍担当
「みんなで頑張ったと思いますよ。主力が怪我をして、若手や(中村)晃、マッキー(牧原大成)らベテランも頑張った。日替わりヒーローじゃないですけど、レギュラーがこれだけいないのもなかなかないシーズンだったので。野村勇や、開幕はいなかった(柳町)達が出てきてくれて、この位置にいるのは本当にすごいこと。ジョー(城島健司CBO)も1月の必勝祈願の時、『優勝して裏方さんをハワイに連れて行こう』って言ってくれたし。ポイントになる試合はありましたけど、全員で掴んだ優勝だと思います」
・戸部浩1軍担当兼アナリスト
「忘れていることもあるかもしれないですけど、やっぱり(川瀬)晃の一打じゃないですか。いろんなことがあったシーズンですけど、あれで結果的に流れが良くなった。やっぱりすごいなと思いましたし、(野村)勇もそうですけど、自主トレを一緒にやったことのあるメンバーが活躍するのは嬉しかったですね」
・寺地健1軍担当
「川瀬のサヨナラ打ですかね。負けムードやったし、チームが助かった。あれで勢いがついたと思います。連敗から始まったシーズンで、主力も外れていましたし。川瀬はプロに入ってきた時から知っていますけど、ホークスは層が厚いじゃないですか。信頼して使ってもらって、結果を出した晃がすごいです」
・岸健太郎1軍担当
「(今宮)健太が打った9月2日のオリックス戦です。その少し前から優勝に向けて雰囲気も変わり始めたと思うんですけど、普段の戦いをしようとして空回りもしていたと思います。だからこそ(中村)晃も含めて、“古参”の2人が打ったのがすごかった。何回も終盤戦を経験して、『こうしないと優勝できない』っていうのを知っているじゃないですか。あの2人が活躍したことの意味を、周りにもぜひ感じてほしいですね。マジックが点灯するのは実力があるから。でも優勝というゴールが見えてくると意識するじゃないですか。(サヨナラで優勝を決めた)2014年の最終戦も晃と健太は経験している。そんな背中を、身を持って見せた試合だったと思います」
9月にはオリックスに4連敗…終盤戦は「あらためて独特だと」
・柳瀬明宏1軍担当兼1軍担当広報
「晃(ひかる)が打ったロッテ戦です。今シーズン、この順位にいられるのはそこじゃないですか。打った晃はもちろんすごいですけど、最後までつないで回したじゃないですか。(中村)晃も2死から出たし、マッキー(牧原大成)も打って、石塚(綜一郎)も死球でつないだ。諦めていた自分も正直いたし、ファンの方々もほとんど負けかなと思っていたでしょうけど。最後に決めた晃(ひかる)はすごかったです。個人的に思い入れがあるシーンは他にもありますけど、チームとして考えたらあのサヨナラ打は欠かせないですね」
・伊藤祐介1軍担当
「僕は(中村)晃さんを挙げたいです。代打で準備をされる時、大体試合の5回が終わったら室内練習場で打ち始めるんですけど、その時にティーを上げるのが自分でした。大事な1本を打った時は自分も嬉しいですし、それで勝った時はお互いにハイタッチで顔を見合わせるんです。晃さんが喜んでいるのを見ると嬉しいです。いつも無表情なので(笑)。今年は1500安打もありましたし、代打専念から始まるはずだったシーズン。スタメンで見られるのはやっぱり嬉しいですけど、代打で出てきた時のあの歓声。ファンの方々が一気に盛り上がるあのシーンは、僕も大好きです」
・岡本健1軍担当兼1軍用具担当補佐
「川瀬のサヨナラですかね。一番はあそこじゃないですか? チームの状況も悪い中で、主力も怪我でいなかったじゃないですか。流れも変わったし、あそこで勝てたことは今になっても大きかったと思います」
・草野晃平1軍担当
「今じゃないですか?(9月23日、オリックス4連戦で連敗)。去年も優勝目前で少し止まった時があって、(柳町)達のサヨナラ打で一気にいった。ああいう1本を打つのってすごく難しいことなんだなと思います。練習は明るくていつも通りなんですけど、選手に疲れもあると思うし。あらためて終盤戦というのは、独特な雰囲気だなと感じました」
(竹村岳 / Gaku Takemura)