連敗中も揺るがなかったチームの雰囲気
深夜の“自己分析”が実を結んだ。24日に行われた楽天戦(楽天モバイルパーク)に8-3で勝利したホークスは、連敗を「4」でストップ。この試合のヒーローに選ばれたのが「9番・二塁」でスタメン出場した川瀬晃内野手だ。2度の好機で適時打を放つなど3安打2打点の活躍。23日までのオリックスとの4連戦では計5得点と沈黙した打線に火をつけた。
ヒーローインタビューでは、「チームも連敗していましたし、僕もチャンスで打てなかったので、きょうは気持ち新たに望みました」と語った。その言葉の裏には、背番号0の知られざる葛藤があった。数日前、悔しさのあまり深夜に取った“ある行動”が、この日の活躍に繋がっていた。
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続きの内容は
・川瀬が明かす、深夜の行動とは
・コーチが語る「キーマン」の真意
・連敗中も揺るがなかったチームの雰囲気
「自分のいい時の映像を見たりしていました。起きてからですね。目が覚めたので」
話は22日のオリックス戦後に遡る。川瀬は3打数無安打に終わり、チームも敗戦。その夜、悔しさのあまり目が覚めた。見返した映像では、躍動する自分の姿があった。
真夜中の映像チェックで取り戻した感覚
深夜の自己分析は、すぐには身を結ばなかった。翌23日も無安打に倒れ、悔しさは募るばかりだったが、2日後のこの日、思いがバットに乗り移った。2回1死三塁のチャンスで右前へ貴重な追加点となる適時打を放つと、4回1死二、三塁の場面では中前へ運んだ。6回にはセーフティバントを決めて猛打賞を記録した。打線を繋ぐ役割を存分に果たした。
この活躍を、ベンチは予見していた。村上隆行打撃コーチは試合後、「キーマンは本当に川瀬だった」と明かす。「僕の中では(川瀬の打席で)絶対にチャンスが来るなと。本当にその形になったので、選手がそれぞれの力を出してくれて、うまく回ったんだと思う。みんなが繋ごうとしてくれた」と、してやったりの表情で振り返った。
悔しさを乗り越え放った3安打は、チームに大きな1勝をもたらした。連敗中も雰囲気は決して悪くなかった。「ちょっと連敗が続いて皆さんに心配をかけましたけど、チーム自体は雰囲気もいいですし、このまま乗りに乗って突っ走っていきたいと思います」。
残りあと7試合。リーグ連覇も目前だ。「皆さんとともに戦っていければいいと思います」と、ファンとの共闘を誓い、ラストスパートをかける。眠れぬ夜を越えた男が、チームを力強く牽引していく。
(飯田航平 / Kohei Iida)