上沢直之が語る日本ハムとの優勝争い 「僕がいた時より…」刺激を受けた後輩の成長

上沢直之【写真:古川剛伊】
上沢直之【写真:古川剛伊】

上沢が語る日本ハムの脅威

 人気企画「鷹フルシーズン連載~極談~」。上沢直之投手の第8回目、テーマは「首位争い」です。優勝へのマジックナンバーを7としているホークスは、シーズン終盤に日本ハムと熾烈な首位争いを演じています。上沢投手にとって日本ハムは2023年まで所属した古巣。「面白いですよ」と、率直な気持ちを明かしてくれました。

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続きの内容は

・上沢投手が語る、フォーム改善の「意外なきっかけ」とは
・古巣・日本ハムの「あの選手たち」に上沢が感じた成長の証
・上沢投手が明かす、初の優勝争いを「楽しい」と感じる理由

 辛抱の時期を抜け、ようやく自らの投球ができている。8月は4戦4勝、防御率1.73で月間MVPに輝くと、9月も2試合で防御率0.00をマーク。転機になったのは8月20日の西武戦(みずほPayPayドーム)だった。

「トレーナーとトレーニング中に、一番スピードが出るフォームを投球に取り入れてみようかと。前日にその感覚が出たので、じゃあやってみようと。そこからボールが変わってきました」。以降の4試合はいずれも2失点以下と、確かな手応えを掴んでいる。

 上沢にとって、シーズン終盤の首位争いは初めての経験だ。「優勝に手がかかりそうな時期に、僕は怪我をしたり、リハビリをしたりしていたので」。日本ハム時代、チームが日本一に輝いた2016年は1軍登板ゼロに終わっていた。“優勝”の2文字に手が届く位置にいる9月を、上沢は「楽しい」と語る。

「緊張感がありますよね。ファイターズとの差も近いしですし。1試合も負けられない試合が続く中でやっているのは、前半戦とは違う雰囲気があります。楽しいですよ」

日ハムとは4.5G差「大海とかは元々凄かったですけど…」

 奇しくも首位を争う相手は古巣・日本ハム。18日の直接対決で逆転勝ちを収め、ゲーム差は4.5、マジックは7に減った。上沢はライバルとして立ちはだかる、かつての戦友たちに不思議な感情を抱いている。

「面白いですよ、やっぱり。一緒にやっていた選手が僕がいた時より力つけて、いい活躍をしているのを見るとすごいなって思う。そういう選手たちと優勝争いができているのは、嬉しいですよ」

 中でも先発陣の成長は気になるという。「それこそ(伊藤)大海とかは元々凄かったですけど、ここ2〜3年で球速も伸びたと思うし、投げるボールもすごい。北山もしっかり先発で回って、本当にいい数字を出している」。かつての“後輩”たちの活躍が、大きな刺激になっている。

 マジックを7としたホークス。「優勝に手がかかるところまで来ているこの時期を過ごしてることが一番じゃないですか」。自身にとっても初めての“歓喜の美酒”を待ち望みながら、痺れる9月を楽しんでいる。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)