
鷹フル人気連載「極談」に近藤が今季初登場
鷹フルの人気企画「シーズン連載~極談~」に近藤健介選手がついに今季初登場です! 第1回目のテーマは「離脱期間中の本音」について。今シーズンは開幕直後に腰の手術を受け、約2か月にわたって戦列から離れました。回復に専念しつつも、早期復帰への思いを強くした理由は“愛する存在”のさりげない仕草――。近藤選手の心境に深く迫りました。
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天才打者は満身創痍のまま、グラウンドに立ち続けている。開幕カードを終えた直後の3月31日に出場選手登録を抹消されると、4月2日に腰を手術。5月14日の2軍戦で実戦復帰を果たすも、この試合で右太ももに違和感を覚えて途中交代した。1軍に戻った後も6月17日の広島戦で左足のかかとを負傷。普通であれば心が折れてしまうようなアクシデントの連続だった。
「まあ怪我しちゃったのはしょうがないと思って、この8月、9月にしっかりと戦力になれるようと切り替えることはできました。監督にもそういう趣旨の言葉をいただいたことで、すぐに手術も決断できましたし、リハビリも前向きに送れたかなと思います」
必要以上の焦りはなかったが、かといってマイペースにリハビリを続けていたわけでもない。ホークスへの移籍1年目となった2023年は本塁打と打点の“2冠王”に輝き、昨季は自身初の首位打者にリーグMVPも獲得。押しも押されぬ存在となった近藤だが、口にしたのは意外な言葉だった。
「ホークスは世代交代がって言われてますけど…」
「『ホークスは世代交代が』ってずっと言われていますけど、いざ移籍してみると『いい選手がいるな』って思いますよ。こうやって出場機会が増えれば、やれるくらいの力がある選手はいっぱいいるなと。自分が怪我で試合に出られないってなると、違う選手が出てくるので。そういう“隙”を作ってしまったからこそ、戻ってきても状態が上がらなければ(試合に出られない)という思いはありました。これだけの巨大戦力ですし。毎年毎年、補強もありますから。そういう危機感は常に持っていますね」
出来るだけ早い復帰を目指した理由はもう1つあった。リハビリ中もチームメートの戦いぶりを欠かさずチェックしていたという近藤。テレビで中継を見ていると、愛娘の様子に“変化”があったという。
「僕が試合を見ていても、つまんなさそうにしてどっかに行っちゃうんですよ。やっぱり自分がゲームに出ているところを見せてあげたいなって。早く戻りたいなというのは大きなモチベーションにはなっていましたね」。パパとしての“責任感”も自らの背中を押していた。
ソフトバンク移籍後は2年連続で規定打席をクリアしていたが、今シーズンの到達は絶望的だ。個人成績的には悔しい1年となっているが、気持ちはすでに切り替わっている。「若い選手が頑張ってくれたおかげで、優勝を狙える位置にいるので。まあレギュラーとして、主力として、そこに力を注ぐのは当然だと思います」。チームのため、そして家族のため――。近藤健介は最後まで走り切る。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)