TJ手術の宇野が漏らした本音「落ちるかも」 今季絶望も…石見颯真が伝えた言葉

宇野真仁朗(左)と石見颯真【写真:竹村岳】
宇野真仁朗(左)と石見颯真【写真:竹村岳】

宇野はTJ手術を受け今季絶望

 互いに支え合う深い関係性があるからこそ、言葉は要らなかった。ドラフト6位で加入した石見颯真内野手が“宇野ちゃん”への思いを明かした。

 7月31日、ホークスはドラフト4位の宇野真仁朗内野手が右肘関節内側側副靭帯再建術(トミー・ジョン手術)を受けたことを発表した。2軍では10試合ながら打率.391と好結果を残していたが、シーズン半ばにして今季中の復帰は絶望的となった。

 石見は手術前、宇野から「トミー・ジョンするかも」と打ち明けられていた。2軍では二遊間を組むなど、互いに切磋琢磨してきた仲。盟友の決断に石見が抱いた思い、宇野が漏らしていた本音とは――。

「もともと2人でいるときに野球の話はしないので。宇野ちゃんも手術して嬉しい気持ちはないと思うので、あまり触れないようにって思っていました。気にしてはいないですけど、仲良いので。あいつに野球の話をしなくても、普通の話はいつもしてますし」

 宇野は早実高から高校64本塁打の実績を引っ提げて入団。石見もキャンプ中に1軍昇格するなど、貴重な経験を積んだ。5月22日のウエスタン・中日戦(タマスタ筑後)では1、2番を任され二遊間を組むなど高い期待を受けている。

 手術後も2人の関係は変わらなかった。「食事の時間も一緒になったら、同じ席で食べています。宇野ちゃんはこっち(右)の手が使えないので、お盆も自分が運びに行ったりとか。全然もう明るくやっていると思います」と振り返る。

宇野がふと漏らした言葉…石見の返事とは

 一方で、手術をする前、ふと宇野が石見に漏らしていたことがある。「育成になるかもしれない怖さはあったみたいです。『育成に落ちるかもな』とは言っていたので」。球団が発表したのは、復帰まで8か月の見込み。来季開幕には間に合う可能性もあるが、入団直後の手術で契約への不安も大きかった。

 そんな宇野へ、石見が笑ってかけた言葉は「心配するな」だった。励ましでも慰めでもない。「本当に育成になっても、すぐ宇野ちゃんなら上がれるよと思っていたので」。本心から飛び出た言葉だったからこそ、笑って話すことができた。

 目指すところは1軍で二遊間を組むこと。「入団当時から『ずっと一緒に二遊間組もうね』って話をしていたので。別に怪我したから遅くなるとは思っていないんですけど、いつかチャンスを掴みたいですね」。今は石見も3軍で鍛錬中。2人で夢を叶えるため、今は辛抱の時期だ。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)