今宮の400犠打に花を添える適時打
打者としての大きな目標を前にしても慢心はない。27日の楽天戦(秋田・こまちスタジアム)、4回無死一塁の場面で今宮健太内野手が史上4人目となる400犠打を達成した。その偉業の直後に柳町達外野手が勝負強さを見せつけ、適時打を放った。
「偉大な先輩がしっかりと送ってくれたので、絶対にランナーを返してやろう、という思いはありました」と、大記録に花を添える一打に笑顔を見せた。
今季の柳町は404打席に到達。これは山川穂高内野手に次ぐ、チーム2番目の数字だ。自身初となるシーズン規定打席到達が間近に迫る中、打者としてひとつの節目の数字でもある“443打席”をどう捉えているのか――。
「これだけ打席に立ったのは、このシーズンが初めてなので。試行錯誤ではないですけど、色々と試しながらやるしかないかと思っています」
残り39打席で自身初の規定到達へ
その言葉と精悍な顔つきからは覚悟がにじむ。打率3割を優に超えていた5月下旬、小久保裕紀監督は柳町に奮起を促す言葉を送っていた。「課題はここからですね。去年も今くらいの打席数から一気に落ちたので。2年同じことをしているようではね」。その言葉は本人の胸に深く刻まれている。
これまでの自己最多である2023年の375打席をすでに超え、新たな領域に足を踏み入れている今季。「規定打席はまだ立ったことがないので、そこは目指しています。でも積み重ねでしかないと思うので、まずは目の前の1打席に集中していきたいです」と足元を見つめる。
慢心なき挑戦…「まずは1打席」
この日の2安打はいずれも左方向への巧みな当たりだった。「この2試合はすごくいい形でやれたので、これを継続できたらと思います」。試行錯誤を繰り返す中で、基本に立ち返った打撃が結果につながっている。
規定打席到達まで残り39打席。クリアはほぼ確実な状況であっても、「全く余裕はないです」ときっぱり。「ウエートトレーニングや体のケアは、入念にできています」。シーズン後半に失速し、日本シリーズではスタメンを外された昨季の悔しさが、満足することを許さない。
プロ野球選手としてレギュラーの証と言える“勲章”。だが、それは柳町にとってゴールではない。見据えるのはキャリアハイのシーズンを走り抜けた先に待つ、本当の勝負だ。その時まで足を緩めることなく、貪欲に安打を積み重ねていく。
(飯田航平 / Kohei Iida)