B組では野手全員がiPitch検定と向き合っていた。「検定をいっぱいやっていますね。今6級で、その時は落ちました。6級は引っ張り5球、流し5球、打球速度がこれ以上、みたいな内容です」。球団として継続する取り組みの一環。16級をクリアした石塚綜一郎捕手は2024年、1軍でも初本塁打を放つなど、しっかりと結果に繋がった取り組みだ。野村も「打たないとレギュラーにはなれないので。逆に、打てれば出られる。とにかくバッティングだけです」と自分自身を見つめる。
2月18日、今宮が左足を痛めてリハビリ組に移行した。正遊撃手の筆頭が離脱し、小久保裕紀監督は「(ジーター・)ダウンズと庄子(雄大)は大チャンスじゃないですか」と言及した。山下恭吾内野手、イヒネ・イツア内野手、石見颯真内野手ら、二遊間を務める若手が次々とA組に参加していく中、キャンプ中、野村は最後まで声がかからなかった。足元を見つめて、胸中を語っていた。
「ショートセカンド、チャンスなので頑張りたいです。始まったばかりなので焦りとかはないですけど、やるべきことをやっておこうかなって感じです」
今宮が帰福する直前、アイビースタジアムのウエート場で顔を合わせた。自主トレをともにした“師匠”から、たった一言。「頑張れよ」と声をかけられた。かつては「芯がない子」とも表現されたが、2月は最後まで打撃面を継続。見守っていた荒金久雄コーディネーター(野手統括)も「悩みがなさそうにできているのが一番じゃないですか。これから実戦で結果も出ると思うので、その時の対処法を自分で2枚、3枚と持っていてくれたら。迷いのないスイングをしているし」と代弁した。
1月、自主トレではひたすら打撃練習を繰り返した。野村も「今のところ。検定もそうですし、トレーニングも。バッティングの感じとか、ちゃんとできているんじゃないですかね」と手ごたえを口にする。「チャンスなので、やることをやっていたらチャンスが来るんじゃないかって感じです。がめつくいきたいです」と、熱い意気込みを語った。