“意外なところ”からプロのレベルの高さを知ることが始まった。「通用しているかは分からないですけど、ある程度試合で投げられて、結果も出せたので」。こう話すのはドラフト6位ルーキーの岩崎峻典投手だ。17日に行われたA組の紅白戦で、打者4人を抑える好投を見せ、開幕1軍への期待も高まってきた。
「打たれるまでは自分の武器を信じて投げていこうかなと思っています」と語る右腕が持つ“特徴”とはどこにあるのか。自身の成長とともに変化していった投球スタイル。即戦力としての期待がかかる中で、ルーキーがプロのレベルを“最初”に肌で感じたのは約1か月前に遡る。これまでに経験したことがなかった出来事があった。
「自分がすごいとかじゃなくて、結構球が動くんですよ。でもバシバシ捕っていたので、すごかったですね。しかも『真っすぐが動きます』とか言っていなくてもいきなり投げても捕られていました。たぶん回転とかで分かって捕ってくれていたので、『さすがプロだな』って思いました」
新人合同自主トレ中に初めて投げたタマスタ筑後のブルペン。投球を終えた右腕は、同級生の牧原巧汰捕手に「ブルキャの人すごいな。初見であんなにバシバシ捕られたこと今までにないわ」と思わず本音をこぼした。いわゆる動くストレートを武器にする岩崎。これまでの野球人生の中でも、初見から上手くキャッチングすることができる選手はいなかったという。「プロのレベルを一番最初に感じたのはそこですね。僕の真っすぐは勝手に動いている感じです」。ブルペンキャッチャーの衝撃が、プロの実力を知る原点となった。
予測不能な真っすぐ。大学時代からその特性を活かしたピッチングを磨いてきた。「大学3年生ぐらいの時から真っすぐの球速が伸び始めて。球速は伸びるけど、球は動くみたいなのがあったんですけど、そこで1つの武器として自分で分かりながらピッチングをし始めたのは大学3年の時ですね」。紅白戦で柳町と栗原を仕留めたのが“その球”だった。
「調子が悪いなって思っている時ほど、抑えられるんですよ。調子いいなって思う時は、球が真っすぐ行く時なので、あまりよろしくないですね。いい真っすぐを投げ込もうとして欲を出してしまうので、それだったらコースを狙って、ちょっと動いた方が打ち取れるかなって」
筑後で岩崎の球を受けたブルペンキャッチャーも「あの子いいですよ。打者はかなり打ちにくいと思います。動くし、球が強いんですよ」とニッコリ。特徴的なストレートを投げ込む右腕に期待をかけた。
「自分は真っすぐが速いピッチャーだとは思っていないので、コントロールや変化球のキレで勝負していくピッチャーだと思うので」。その武器を磨き、プロの世界でどこまで通用するのか。岩崎の投球から目が離せない。