大関友久の2つの目標 カギはファンの思い…“目に見えないもの”に込められた意味

インタビューに応じた大関友久【写真:川村虎大】
インタビューに応じた大関友久【写真:川村虎大】

当確した開幕ローテーション…「1年間投げきりたい」

「鷹フルリレーインタビュー」は今年からリニューアル。テキスト方式で、選手の思いをファンの皆さんにお届けします。今回は、大関友久投手が登場です。キャリアハイの成績を残してパ・リーグ制覇に大きく貢献した昨季。優勝から得たものは今季の目標に大きな影響を与えました。左腕が掲げた「目に見えない目標」――。勝利を一緒に分かち合いたいファンの大切さを明かします。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 数字では表せない目標が左腕の力になる。2024年シーズンでキャリアハイとなる8勝を挙げた大関友久投手は、今季の開幕ローテーションの1枠を掴み取った。「(小久保裕紀監督と)1対1でお会いした時に伝えられました。基本的には4番手で考えているからと言っていただきました」。小久保監督からの言葉に対して「ありがとうございます。しっかりと準備します」と力強く返事をした。

 春季キャンプでは体調不良もあったが、その影響を感じさせない順調な仕上がりを見せている。「今のところ80点って感じですかね。狙い通りに来ている部分と課題も出てきているので、あとはそこの20点です」。体重の変化などもあり、体調面を心配する声もあったが、開幕ローテーション入りに向け、連日遅くまで練習を積み重ねている。

 大関には今季の目標として、2つの目標がある。1つ目は“13勝&160イニング”という数字面での目標だ。「キャリアハイをどんどん更新していきたいですし、去年の成績を越したいと思っています」。明確な数字を設定し、自身のキャリアにつなげていきたい考えだ。その数字へ到達するために必要となるのが2つ目の目標だ。「“目に見えないもの”ですけど……」。プロ入りから初めて、具体的に掲げた目標には重要な意味があった。

「リーグを連覇して日本一になることが一番嬉しいです。そういう1年にしながらも、目に見えない部分では、ファンの皆さんに2025年のホークスを応援して良かったと思ってもらえるような1年間にしたいと思っています」

 2019年育成ドラフト2位でプロの世界へ飛び込んだ。2021年の5月28日に支配下登録されると、これまで通算で70試合に登板し、20勝17敗、防御率2.74をマーク。その中でも昨季、キャリアハイの成績でリーグ優勝に貢献できたことが、プロ野球人生という長い目で見た時に大きな意味を持つことになっていた。

「ファンの方に喜んでもらいたい。元々そういう気持ちはありましたけど、具体的な目標として持つようになったのは、スポーツ心理学を学んでからです。どういう考え方が自分のモチベーションを最大限に引き出すのか。目に見えないものを追いかけるという難しいことですけど、それも大事な目標だなと思いました」

 自身が目標とする数字やステージに達するための思考を繰り返してきた左腕にとって、それは新しい気づきでもあった。目に見えないものを具体的な目標として掲げることは、達成できたのか否かは自身にしか計り知れない部分ではあるが、マウンドに立ち続けていくための大切な“意欲”になる。

「確実にプロに入ってから右肩上がりでキャリアを歩めていると思うので、そこはすごく順調です。ですが僕も目指すところは高いところなので、逆算を上手くしながら、これからの成長をさらに順調に行くため、緊張感を持って取り組んでいきたいです」

 大関が2025年に掲げた2つの目標。片方だけを達成することは考えられない。勝ち星が増えれば、ファンの喜びも増し、その結果として自身の目標へと近づくことができる。そして、それが連覇へとつながる信じ、1年間ローテーションを守り抜く。

(飯田航平 / Kohei Iida)