鷹フルリレーインタビュー…「神ドラフトと言われるような存在に」
「鷹フルリレーインタビュー」は今年からリニューアル。テキスト方式で、選手の思いをファンの皆さんにお届けいたします。今回は、柳町達選手が登場です。熾烈な外野手争いが繰り広げられようとしている中で、ホークスの未来を担っていく同世代の選手たちが、それぞれのポジションを掴むために必死で練習を積み重ねています。「生き残るために」――。柳町選手が、海野隆司選手や大関友久投手ら、同年代から受ける刺激と今季にかける覚悟を語りました。
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大切にする仲間たちとともにレギュラーの座を掴みにいく。春季キャンプも第3クール目に突入し、実戦形式の練習も始まった。「順調に来てると言えば、順調かなと思うんですけど、あとは本当に実戦に入って、もっともっとスピード感ある中で、しっかりやっていけたらなと思っています」。ここまでの状態については、充実の表情を浮かべる。
外野の一角を狙う柳町にとって、今季も激しいレギュラー争いが繰り広げられるのは間違いない。レギュラー争いの真っ只中にいるのは、同世代の選手たちも同じだ。2019年ドラフト2位の海野は、同じ1997年生まれの谷川原健太捕手と正捕手の座をかけて、日々アピールを続けている。同年育成ドラフト2位の大関は開幕ローテーションの当確圏内にいるなど、今後のホークスを担うべき世代の選手らが各々のポジションで台頭しようとしている。
ドラフトの同期入団は、1位が佐藤直樹外野手。3位が津森宥紀投手ら、着実にステップを踏んできた若鷹たちだ。2025年がプロ6年目。4月には28歳になる柳町が、今季にかける覚悟と同世代の選手への赤裸々な思いを明かした。「本当に1年1年が勝負なので」――。
「絶対みんな頑張っているんですよね、もう生き残るために。それこそ結果が出せなくなったら、もう首を切られるような年齢ですし。そういう覚悟を持ってやっていると思うので。そこは僕自身も感じていますし、みんなで本当に長くやっていけたらな、とも思いますね」
昨年オフ、小林珠維投手が戦力外通告を受けた。支配下で5人いた同期入団から、初めてホークスを去る選手が現れた。結果がすべての世界であることは理解していたが、高卒と大卒の違いはあれど、自分がどのような立ち位置に差し掛かったのかを改めて実感する出来事になった。
津森は「“神ドラフト”とかよく言われるじゃないですか。そういう風に言われるように頑張りたいなと思っています」と話していた。右腕の言葉に、柳町も「僕自身も入団の時に確かそんなことを言ってたかなとは思うんです」と同調する。日頃から多くは語らないヒットマンだが、同期への思いは入団時からずっと変わらない。先輩たちの姿を見ていると、少しずつ“自覚”が芽生え始めたからだ。
「去年から大関とも『同級生で頑張ろう』みたいなことを言っていたので。大関が投げていたら、勝ちをつけてあげたいなとも思いますし、同級生みんなでそういう思いを積み重ねていって、相乗効果でチームが強くなっていけたらいいのかなと思います」
常に同世代の奮闘が大きな影響を与え続けてくれた。だからこそみんなで、次のホークスを担っていきたいと心から思える。「今季が大事な年です。でも、自分のできることをしっかりやって、監督がおっしゃるように代えのきかない選手になれるように突き詰めていけば、自然とと後輩の良い手本にもなりますし、先輩にも負けないようにという姿勢になる。そういう中堅になれたらと思います」。これから先も“常勝軍団”と呼ばれ続けるためには、世代交代は必須だ。今ここで殻を破り、ホークスを支える太い柱になりたい。
「同世代でいうと、僕は結構自分勝手にやらせてもらっているんですけど、やることをしっかりやることで『みんなで頑張るぞ』って思わせられるような。そんな良い結果や、姿を見せたいなと思います。バッティングと勝負強さが僕の持ち味なので。そこは誰にも負けないように、今シーズンもここぞの場面での強さを発揮していけたらと思います」
今季のホークスはきっと、柳町ら中堅の飛躍が優勝のカギを握る。「神ドラフトと言われるような存在に、みんなで頑張っていけたらなと思ってます」。笑顔で語れるのはお互いを高め合える同世代の存在があるから。それぞれの思いを持って、今季のレギュラー争いを白熱させる。
(飯田航平 / Kohei Iida)