「いつもポジティブ」柳田悠岐との1か月で起きた“変化” 佐藤直樹が学んだ“心のあり方”

柳田悠岐【写真:冨田成美】
柳田悠岐【写真:冨田成美】

後輩たちが見たありのままの“ギータ”…「僕もそういう気持ちになれた」

 門下生が、成長を言葉にしたことが嬉しかった。今季からチーム最年長になった柳田悠岐外野手が、寝食をともにしてきた後輩たちへの期待を語る。佐藤直樹外野手、笹川吉康外野手らを率いて行った1月の自主トレ。柳田自身も順調な仕上がりを見せる中、2人の弟子も鋭いスイングで快音を連発していた。1か月という短い期間で、どのような変化が起こっていたのか。

「ちょっとネガティブ思考だったのが、ポジティブまではいかないですけど、いらないことを考えなくなりました。気持ちの面とかも、ギーさんに聞いたわけではないですけど、普通に会話していて『やっぱりこういうメンタルの人が活躍するんだな』って思うこともありました」

 こう話すのは佐藤直だ。1か月の共同生活を終えて、一番成長した部分は心の変化だった。節々に感じたものは、偉大な先輩の“ポジティブ思考”。これを柳田に伝えると「おぉ! ほんまですか」と驚きと喜びが入り交じった表情を見せ、“門下生”への思いを語り始めた。

「でも結局“力”はあるので。考え方とか、そういうところやと思うんです。(佐藤直)本人が自分で気づけるかどうかってところと、あとは経験していくしかないと思うんですよね。そこは本人の問題なので」

 自主トレをともにはしたが、直接的な指導はほとんどしてこなかったのもギータらしい。「結局、結果を残すためにやっているので。彼がどう感じたかわかんないですけど」。1か月の間に見せてきたのはありのままの“柳田悠岐”だった。数字を残さなければ生き残れないのは誰しもが同じ。数々のタイトルを獲得し、常勝軍団を作ってきた自分にも言えることだと、後輩たちにも感じてほしかった。

「ギーさんはいつもポジティブな発言しかしていなかったんです。だから僕もそういう気持ちになれたんだと思います」と佐藤直。春季キャンプでは、B組スタートとなった。柳田はS組、笹川はA組と、追いかける立場として球春を迎えたが「頑張ります! 僕が決めることじゃないですし、ちゃんとやっていたら誰か見てくれていると思うので。真面目に真剣にやりたいなって思います」と前を向くことができる。

「バッティングも今年は結構振れているのかなって」。自主トレでは柳田と同じ練習メニューをこなしてきたことで、技術の向上にもつながった。「シンプルにいらんことを考えなくなりました。マイナスになるようなことを。良い意味で『どうでもいいわ』みたいな感じに」。誰よりも明るい柳田を見ていたら、自然と後ろ向きな考えは消えていった。

 昨年は育成選手として迎えたシーズンだったが、今年は2桁を背負ってスタートラインに立つことができた。柳田も「力はある」と認めるほどの実力。2025年こそ、その才能を開花してみせる。

(飯田航平 / Kohei Iida)