周東佑京の上半身が“変貌”「太ったっす」 パツパツのユニ…5キロ増に隠された2つの狙い

春季キャンプで調整をすすめる周東佑京(左)【写真:長濱幸治】
春季キャンプで調整をすすめる周東佑京(左)【写真:長濱幸治】

打撃練習で聞こえてきた“つぶやき”…「体が回らないっす」

 1日にスタートした宮崎春季キャンプ。周東佑京内野手はS組の一員として、昨年11月に手術した左膝の回復具合を見ながら、シーズンに向けた調整を進めている。「状態は8割くらい。思ったよりも動けています」。明るい表情を浮かべつつ、3月28日の開幕戦に向けては「間に合わすしかない」と力を込めた。

 キャンプ初日、周東は同じ組で打撃練習を行った今宮健太内野手に笑いながら語りかけた。「体が回らないっす。ユニホームがパツパツで……」。爆発的なスピードを生み出すしなやかな脚は相変わらず。目を奪われたのは上半身だ。ユニホームにほとんどゆとりがなさそうに見える。周東に聞くと、わずかに苦笑いを浮かべながら真相を明かしてくれた。

「太ったっす。リハビリ中は上半身しかウエートトレーニングができなかったので。そこをメインに1、2か月やっていたのと、ご飯もめちゃくちゃ食べていたので……。今が75キロで、去年のシーズン終わりは70キロくらいだったので。5キロくらい太りましたね」

 頭をかくような仕草を見せた周東だが、もちろん不摂生によるサイズアップではない。「上半身を鍛えようと意識はしていましたね」。狙いの一つは、2021年に手術した右肩のカバーだ。「手術後は肩が固まることも多かったですし、そういった不安を今年はなくしたいので。肩回りは重点的にトレーニングしましたね」。選手会長として、一番避けたいのは長期の離脱。先の長いシーズンに向けての準備に余念はない。

 増量の目的はもう1つあった。「今年はもうちょい、長打も増やしたいなと。飛距離って意味ではなくて、セカンドの頭、ショートの頭を鋭く抜くようなバッティング。多少詰まったとしても、打球が外野の間を抜いていくっていうイメージでいきたいなと思っています」。

 昨季はシーズン115安打を放ったが、うち長打は二塁打15本、三塁打5本、本塁打2本。長打率.341は、パ・リーグの平均.347とほとんど変わらなかった。ちなみにホークスは12球団で断トツの長打率.394をマーク。外野の間を抜く打球が増えていけば、最強の武器であるスピードをより生かせる算段だ。

 一方で、体を大きくすることのデメリットも冷静に分析している。「やっぱり弊害もありますね。体脂肪が増えたら動きにくいなと。あまりにもデカくなりすぎて走れなくなるのも駄目だし、かといってスカスカ過ぎても駄目。そこのバランスを取っていかないとですね」。

 現時点で体重を落としていく考えはない。「今のうちに体に体重を慣らさないといけないので。トレーニングをしながら体脂肪を減らしつつ、筋量を増やしてって感じです」。パワーアップした2025年版の周東佑京を見せるため、さらに引き締まったボディを目指すつもりだ。

 ユニホームについては「サイズを少し大きくしてもらえるか、話はしています。まあ、状況に応じてですね」と“交渉中”だという。もちろん動きやすいに越したことはないが、肉体美が一目で分かる“パツパツユニホーム”も捨てがたい――。そんなファンの声が聞こえてきそうだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)