初めて見たギータに衝撃受けた松坂恭平さん「すごい選手がいます」
細かいこだわりが長年のプロ野球生活の礎となっている。柳田悠岐外野手の活躍を支える道具の一つがグラブだ。現在使用しているのが「one」のグラブ。このメーカーはかつてホークスにも在籍した松坂大輔氏の弟、恭平さんが手掛けている。長年愛用してきたグラブをベースに、現在の“相棒”を製作。職人や工場も同じであることから、長年使い慣れた感覚を再現してもらえていることに、深い感謝の念を抱いている。
これまでに6度受賞したゴールデングラブ賞。当然、守備に関しても高い意識を持っている。「(今年の)ゴールデングラブはちょっと無理だと思うんですけど……」と語りながらも「1試合でも多く守備についてピッチャーを助けられるようにという気持ちで今は過ごしてます」。今季は指名打者としても数多く起用されることが予想される中で、守備に対しても貪欲な姿勢を見せる。
理想のグラブを目指して何度もやり取りを重ねてきた松坂さんは、柳田のこだわりについて「他の選手よりも強い方」と断言する。「これをつけて、1日でも多くグラウンドに立てるように」と語った柳田。豪快なバッティングはもとより、守備でもファンを魅了するギータが、“相棒”に求める繊細な感覚を明かした。
「まず軽いのが大前提。ボールまで走りやすいので。軽いグラブなんですけど、しっかりしてるんで。すごく使いやすいです」
柳田にとって最大の条件は“軽さ”だ。「そこはすごく大事だと思うんで。他のメーカーさんのグラブとかも使ってきた中で、一番軽いんで。すごくありがたいです」。求めるのは軽さと耐久性を兼ね備えた一品。長年愛用してきたメーカーから、「one」に変更した理由を明かした。
2人の付き合いは、松坂さんがアンダーアーマーに勤めていた時から始まった。当時2軍にいた柳田を初めて見た瞬間に衝撃が走ったという。「すごい選手がいます」と上司に電話し、柳田に道具の提供をしたい旨を伝えたことから関係はスタートした。
松坂さんがグラブを届ける際には、3個の試作品を持っていく。同じような形に仕上げたものでも、重さに多少の誤差が生じたり、革の質感にも差が出たりする。「ちょっと違うんですよね」と、次のグラブを求められることもあるという。「来年の試合で使うものを、前年のシーズン中に練習で使っているんです」。選ばれた1個は1年をかけ、試合で使える状態にまで育てていくという。
「元々はアンダーアーマーのものを使っていたんですけど、今のグラブは職人さんも工場も一緒なので。もうプロで10年以上使っているし、それを再現していただいてるoneの皆様には感謝しています」
今季で37歳を迎える柳田。「10年前やったらゴールデングラブいけとったっすね、これやったら」。左手につけた“相棒”を見つめながら、冗談っぽく笑った。松坂さんへの感謝を胸に、今季は守備でもスタンドを熱くする。
(飯田航平 / Kohei Iida)