甲斐拓也が「大好きっす」…オレンジのネクタイ秘話 佐藤&栗原が“仕組んだ”送別会

ネクタイを手に持つ佐藤直樹、甲斐拓也、栗原陵矢(左から)【写真提供:佐藤直樹選手】
ネクタイを手に持つ佐藤直樹、甲斐拓也、栗原陵矢(左から)【写真提供:佐藤直樹選手】

佐藤直樹が明かす関係性…「大好きっす。本当に寂しい」

 たくさんの時間を過ごしてきたからこそ、先輩の行動が読めた。佐藤直樹外野手が、FAで巨人に移籍した甲斐拓也捕手との関係性と、胸の内を明かした。「可愛がってもらっていて、1軍にいる時の遠征ではほぼ毎日ご飯はタク(甲斐)さんとクリ(栗原陵矢内野手)さんと、でした。遠征に行ったら、絶対1回は行っていましたね」と3人で過ごした時間を振り返る。

 昨年の12月26日に行われた甲斐の入団会見。「この日に合わせてきました。後輩からプレゼントしていただきました」と、オレンジ色で胸元を締め、会見という晴れ舞台に臨んだ。このネクタイを贈ったのが栗原だった。

 甲斐が福岡を出発する寸前に行われたのは、3人だけの食事会。焼肉で“お別れ会”を開催した。「『福岡で最後に行こうや』って誘ってもらいました。巨人に決まったタイミングだったので」。その場で栗原はネクタイを手渡したが、佐藤直にも準備していたものがあった。「被りそうだなと思って……」。自身が明かしたエピソードとは――。

「クリさんがオレンジのネクタイで、僕はオレンジのタオルを渡したんです。それは一緒に買おうとしたわけではなくて、たまたま2人ともオレンジのエルメスを買っていたんです」

 佐藤直がタオルを選んだことにも理由があった。「本当は僕もネクタイにしようと思ったんですけど、被りそうだなと思ってタオルにしたんです。そしたら、たまたまクリさんがネクタイを買っていて……。被らんでよかったです」。先輩である栗原の性格をじっくりと“考察”。その考えは見事に的中していた。

「しかもクリさんが選んだものは、僕も見ていたものだったんです。『あぶねぇ』って思いました」。“被り”を回避することができたことに、安堵の表情を浮かべた。同じネクタイを購入しようとしたことは、甲斐と栗原には打ち明けられず。佐藤直の胸の中だけに留めているそうだ。

佐藤直樹(左)と甲斐拓也【写真提供:佐藤直樹選手】
佐藤直樹(左)と甲斐拓也【写真提供:佐藤直樹選手】

 甲斐がFAを宣言してからは、佐藤直にとっても落ち着かない日々だった。「決まる前も『どうするんですか?』って聞いていたんすけど、それは本当に僕とクリさんにも教えてくれなかったです」。記事を見て知った巨人への移籍。「『タクさーん』みたいな感じで送ったら『今ちょうど電話しようと思っとった』って返事が来ました。そこから今度飯行こうやっていう流れでしたね」。思い返すと、数え切れないほど食事をご馳走してもらった。

「普通に誘われる時もありますけど、『今日どこ行くっすか?』みたいな感じで僕から言うことも多かったです。『え、お前来るん?』みたいな感じのノリをされたりしていましたね。(周東)佑京さん、クリさんの4人だったり、(柳町)達さんが来たこともありました」

 親睦を深めてきたからこそ、本音が溢れる。「もう大好きっす。本当に寂しいです。タクさんがいないホークス……。まだ実感はないです」。甲斐からは「本当に頑張れよ! 絶対いけるって、お前は」と伝えらえた。その言葉を胸に、年が明けた1月からは柳田悠岐外野手の自主トレに参加し、パワーアップするために汗を流している。「試合の時とか、宮崎キャンプでも飯行こうと言う話をして、解散しました」。成長した姿は、必ずグラウンドで見せる。

(飯田航平 / Kohei Iida)