昨年末、全6回にわたってお届けしたルーキーたちの連載。そこで書ききれなかった“こぼれ話”を番外編として紹介いたします。今回は愛工大名電高からドラフト5位で入団した石見颯真(いしみ・そうま)内野手が登場。高校時代から強烈に意識するライバルとは……。「ホークスはないな」。そう感じた瞬間を明かしてくれました。
「絶対に負けたくない相手ですね」。強烈に宇野をライバル視するきっかけがある。昨年4月に行われた「侍ジャパン」のU-18代表候補選手強化合宿。メンバーに名を連ねていた石見は確信にも近い思いを抱いていた。
「ショートは正直、宇野か自分のどちらかが選ばれるだろうなと思っていましたね。こういうやつと戦うんだろうなって。僕も最終選考までは選ばれたんですけど、結局は落とされちゃったんで」。熾烈な争いを制したのは宇野だった。
石見自身は高校3年間で計3度の甲子園出場を果たしたが、最後の夏は聖地にたどり着けなかった。その“晴れ舞台”で自由自在に木製バットを使いこなし、快音を連発する宇野の姿を目に焼き付けた。「やっぱり3年の夏であれだけ打って有名になって。すげえなって」。そんなライバルが自身より先にドラフトで指名された。石見が肩を落とすのも無理はなかった。
結果的に、宇野が指名された直後の5位でホークスから名前を呼ばれた。「もうないなと思っていたら来たんで。びっくりしましたね。めっちゃ汗が出ましたね」。ともにショートを主戦場とする18歳同士。身長176センチ、体重77キロの石見に対し、宇野は177センチ、82キロと体形も似通っている。「やっぱり勝たないと試合には出られないので」と覚悟を決めている。
ドラフト後は宇野と連絡を取り合っているといい、「同期の中だとかなり仲良くさせてもらっています」と笑みを浮かべる。好敵手でありつつも、ともに未知のプロの世界を歩んでいく仲間でもある。「本当にいいライバル関係だと思います」とうなずく。
「意識しまくりです。僕は負けず嫌いなので。プロでは宇野に勝ちたいですね」。ドラフト2位の庄子雄大内野手も含め、2024年にホークスが指名した支配下選手6人のうち、実に半数の3人がショートだった。未来の正遊撃手の座を掴むのは誰か。プロの世界でも熾烈な競争がスタートする。