今宮健太、津森宥紀に「前からキレていた」 激怒の裏側…初めて明かす“大きな期待”

インタビューに応じた今宮健太【写真:冨田成美】
インタビューに応じた今宮健太【写真:冨田成美】

16年目にして“初の試み”…リーダーとしての自覚「もっと知らなきゃ」

 皆さま、あけましておめでとうございます! 鷹フルがお届けする今宮健太内野手の新春特別インタビューの第2弾です。若手選手の手本となり、背中でチームを引っ張ってきたリーダー。2024年は新たな一面を見せる場面もありました。16年目を迎える2025年は初めての“試み”にチャレンジも……。思いを語ってくれました。

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 昨季、今宮のリーダーシップが注目を集めたシーンがある。「そんな気はなかったんですけど、なんとかしないといけないなと思って……」。マウンド上で津森宥紀投手に厳しい口調で気合を入れた場面だ。「結構キレましたね」。2024年8月28日に長崎で行われたオリックス戦。1点リードの7回2死満塁で登板した津森は、まさかの3者連続押し出し四死球で、1死も奪えずに降板となった。この時に首を傾げ、気迫を失ったままマウンドに立っていた右腕に、いち早く声をかけたのが今宮だった。

 言葉で引っ張るタイプではないと自認する今宮から思わず出た喝。「あれは不意でした。『ちゃんとしろ』と思いながら……」。今では笑って振り返る“事件”。今宮が当時の秘話を語ってくれた。

「実はその前から僕、もうキレていたんですよ。アイツは夏場というか、あの時期に必ず崩れるんです。前半戦はめちゃくちゃ良かったのに、夏場にしゅんってなって、ダメになるっていうシーズンがずっと続いていたので。実は前からその話をしていて。それなのにあんな感じだったので、キレたっていうのが1つの理由です。これはまだ、どこにも言ったことはなかったですね」

 公私ともに可愛がっている後輩でもある津森。「チームとしてもアイツがおらんとダメだろうなっていうのがあるにも関わらず、こんな感じだったので」と厳しく接するのは、チームのため。今宮は「引っ張っているつもりは全くないですけど……」というが、33歳を迎えた“チームリーダー”の自覚が滲み出た瞬間だった。

「僕、あまり喋らないので。もう喋る選手も結構固定されていて……」。ベテランになった今も、いまだに“人見知り”な部分があるそうだ。「だから今年はちょっと、それを脱却しようと思って」と、企画していることがあるという。16年目にして初めての試み。それは、今宮主催の“投手会”だ。

「津森に若いピッチャーを中心に集めてもらって、食事会を開こうと思っています。若手の中に僕が入っていく感じで」とニヤリ。今までであれば「絶対にない」という試み。「そういうのも大事になってくるのかなと。ピッチャーのことをもっと色々と知らなきゃいけないというか。知っておきたいなっていう思いがあって」と、その意図を語る。

 これまでなら、今宮の同学年である森唯斗投手(DeNA)がそういう場を作ってくれていたという。森が移籍して以降、投手陣とコミュニケーションを取る機会が減っていると感じていた。そこで津森の協力を仰いで、自らがアプローチする形で“投手会”を企画している。

 2023年オフにチームを去った森に続き、石川柊太投手もロッテにFA移籍した。同学年が続々とチームを去り、「また友達おらんくなったっす。本当に喋る選手がいなくて」と寂しがっていた今宮。「本当にコミュニケーション能力はあまりないので……」。決して積極的に話し掛けにいくタイプではないが、今年は殻を破るつもりだ。「それもいいかもしれないですよね。投手会、ちょっとやっていきたいですね」とうなずいた。

 7月には34歳を迎えるが、今宮は野球人として、人として、まだまだ成長を止めるつもりはない。2025年は“新しい今宮健太”が見られる1年になるかもしれない。

(上杉あずさ / Azusa Uesugi)