ソフトバンクから戦力外通告を受けていた仲田慶介内野手が24日、西武と育成選手契約を結んだことが発表されました。鷹フルでは、新天地での挑戦を決めた25歳に単独インタビュー。決断の舞台裏や、覚悟を決めた「一本の電話」があったことを明かしてくれました。
曇りのない明るい表情からは新たな意気込みが感じられた。2021年育成ドラフト14位で指名を受け、ホークスに入団した仲田。この年のドラフトで最後となる128番目に名前が呼ばれた選手としても注目を集めた。3年目の今季、ようやく支配下を勝ち取るも、11月4日に戦力外通告を受けていた。
ホークスから育成契約の打診を受けていたが、西武で再出発する道を選んだ。「ホークスの育成でやるってのは、もう正直選択肢として最初からなかったので」。その明確な理由を明かした。
「もうどこかの球団から育成でも話が来たら絶対に行こうと思っていたし、来なかったら社会人野球とかも考えていました。やっぱり、それくらい入団したときから命懸けでやっていたので。それで今年支配下に上がって、もう1回育成(再契約)っていうのはちょっと……。自分の中では野球に対して中途半端な気持ちでは絶対にやりたくないので、それだったら別の場所でやろうと決めていました」
ハッキリとした口調で仲田はこう語った。これまでの3年間は必死の思いでがむしゃらにやってきた。地元・福岡の出身で、ホークスのユニホームへの憧れは誰よりも強かった。だからこそもう一度、ホークスに入団した時と同じ気持ちでプレーすることはできない——。素直な気持ちを明かした。
「育成14位から入って、一番下のところから這い上がった。その熱量でもう1回、っていうのはちょっと。2年目とかも苦労して、いろいろあって、3年目にやっと上がれてという中で、もう1回というのはなかったです。西武に声をかけていただいて、めちゃくちゃ感謝しています」
「もう少し待とうというのもあったんですけど、西武の方に『最初は育成からになってしまうけど、本当に来てほしい』と熱心に言っていただけたので……。そこで頑張りたいなっていう気持ちにすごくなりました」
仲田が西武を選んだのは、ホークスOBからの電話も大きな要因になっていた。「鳥越さんからも直接電話がかかってきて、『一緒に頑張ろう』という言葉もかけてもらいました。『じっくり考えてくれ』とは言われたんですけど、『縁があれば一緒に頑張りたい』と言われて、絶対西武で頑張ろうと思いました」。
西武から連絡を受けた後に、来季から同球団のヘッドコーチに就任する鳥越裕介氏からすぐに電話をもらった。「たぶんテレビ局の人に番号を聞いたんじゃないですかね?」と驚いたが、そこまで自分を必要としてくれた行動が仲田の迷いを吹き飛ばした。
両親の言葉も背中を力強く後押しした。「埼玉にも応援に行くって言っていました。福岡に来ることになったら毎試合来ると思います。『絶対にいい方向に行くよ』みたいな感じで、前向きな言葉をもらいました」。自らを“親バカ”と語る両親の言葉は、新たな道に進むことを決意した仲田に、変わらない温かさをくれた。
複数のポジションを守れることが魅力のひとつ。それでも西武では一本に絞って勝負するつもりだ。「セカンドがメインで、という話はありました。僕もセカンドを守る機会が多かったし、一番練習していたポジション。勝負できる場所はセカンドだと思っています」。生粋のホークスファンだった仲田の決意——。新天地でも変わらぬ泥臭さで、自分の道を切り開いていくだろう。