今季は2軍で6試合に登板、防御率5.40…「このままでは駄目ですね」
3年目の“現在地”を誰よりも理解している。「このままでは駄目ですね。来年がラストという気持ちでやらないと……」。3年前、大きな期待を背負ってホークスに入団した風間球打投手。口にしたのは、強烈な危機感だった。
今季は2軍で6試合、計5イニングを投げて防御率5.40。シーズンの大半は3、4軍が主戦場だった。プロ3年間で1軍登板はなし。入団から2年間、度重なる故障に見舞われた右腕は、厳しい現実から目を背けることなく、しっかりと受け止めた。
10月7日には同期入団で同学年の瀧本将生投手、佐久間拓斗内野手、三代祥貴内野手の育成3選手が球団から戦力外通告を受けた。「やっぱり甘えていたら駄目だなって。自分もいつ、そうなるか分からないので。自覚を持たないとっていうのは感じました」。日頃から行動をともにするなど、仲の良かった3人に訪れた“現実”は、他人事とは思えなかった。風間が続けて明かしたのは、偽らざる本心だった。
「申し訳ないですね。ドラフト1位で取ってもらって、背番号1ももらって。まだ(今オフに)育成契約になるかは分からないですけど、焦る気持ちはあります。今年の成績的には(育成契約が)あってもおかしくないのかなと」。ドラフト1位で入団し、今季3年目を迎えた21歳が口にしたのは“育成”の2文字だった。
悲壮な覚悟を明かした一方で、今季は手ごたえをつかむ瞬間もあった。プロ入り3年目にして、故障による離脱もなくフルシーズン投げ抜くことができた。役割は高校時代と違い、中継ぎだった。
「1年間、ずっと調子を良い状態で保つっていうのが難しいなと感じました。波があったなっていう感覚ですね」。納得のいく数字は残せなかったものの、初めて“プロ”として得た感覚だった。「これまではリハビリばかりだったので。投げたからこそ分かる難しさでした」とうなずいた。
24日に行われたドラフト会議も気が気ではなかった。3年前は自身が大勢の報道陣に囲まれた舞台。特に前評判の高かった関大・金丸夢斗投手、愛知工大・中村優斗投手の行方を自然と目で追っていた。「(ホークスに)来ると来ないとでは、正直違うので」。そう本音をのぞかせつつも、「どの選手が入っても同じなので。負けないようにやるしかないです」と前を見据えた。
来季に向け、覚悟は決まっている。「やっぱりラスト1年だと思わないと駄目ですよね。ほかの仕事はやりたくないです。野球が一番です。自分の友達とかも、やっぱり1軍で投げているのを見たいじゃないすか。せめて1回くらいは応えないと。そのために(ホークスに)来たので。投げないと意味がない」。2025年をどんな立場で迎えるかは分からない。それでも、風間ができるのは懸命に腕を振ることだけだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)