10日の楽天戦は杉山、ヘルナンデスが2イニング5奪三振の“快投リレー”で快勝
ホークスのため、自らのプライドのため、そして何よりも無念の思いでチームを離れなければならなかった仲間たちのため――。悔しさに打ちひしがれたセットアッパーとクローザーはリベンジを誓い合った。
10日の楽天戦(楽天モバイルパーク)。3点リードの8回に登場したのは杉山一樹投手だった。2三振を奪うなど、危なげない投球で3者凡退に切って取ると、9回のマウンドにはダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が上がった。こちらは3者連続で空振り三振を奪う好投でチームに勝利をもたらした。
今季最長の4連敗で迎えた8日の西武戦(みずほPayPayドーム)。試合前に2人は強い覚悟を共有した。前日7日の同戦は、1点リードの8回に杉山が同点打を浴び、同点の9回にはヘルナンデスが決勝弾を許した。救援陣の相次ぐ離脱で、役割が“繰り上げ”となった両腕が立てた誓いとは――。
「きょうは絶対にやり返してやろうぜ!」
杉山にそう声をかけたヘルナンデスは、熱い思いを口にした。「いつもそういう気持ちはありますし、特に失点した次の試合は絶対にやり返してやろうと思うんだ。だから杉山にもそういう声をかけたんだ」。
左腕の胸の中には、ここまでチームを支えてきた仲間たちへの思いもある。自身とともに懸命に腕を振ってきた松本裕樹投手、藤井皓哉投手がそれぞれ離脱。レギュラーシーズン中の復帰は微妙な状況だ。
「もちろん離脱していった選手たちのことも、そしてチームのことも思って投げているよ。もちろん、自分のこともね。バッターは絶対に打ってやろうという気持ちでくるんで、自分も絶対に抑えてやるという思いで投げているよ」。マウンドではあくまで自らの投球に集中する。それが勝利への一番の近道だと信じているからだ。
8日の試合でヘルナンデスとともに無失点投球を見せ、チームの連敗脱出に貢献した杉山もリベンジの思いに燃えていた。「マウンドに上がるまでは相当緊張はしましたけど、しっかり(試合に)入ることができていた。0点に抑えられたことがすべてです」。
首脳陣の期待も十分に伝わっていた。「(7日と)同じ場面(1点リードの8回)で投げさせてくれた小久保(裕紀)監督や、倉野(信次)コーチの思いに応えたかった」。もらったチャンスを生かさないわけにはいかなかった。
10日にはロベルト・オスナ投手が3軍戦で復帰登板を果たし、早期の1軍復帰が現実味を帯びてきた。「彼が戻ってくるまで自分のできることをやっていくだけだよ。彼が帰ってこればもちろんクローザーだからね。僕は7回や8回、どのポジションでもいいけど、チームをサポートできるように投げるだけだよ」。ヘルナンデスは率直な思いを口にした。
8回杉山、9回ヘルナンデスのリレーで連勝したホークス。“急造コンビ”の働きは、優勝の2文字が現実となった時、きっと大きな喜びとなって帰ってくるはずだ。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)