4連敗も“雰囲気悪くない” 川瀬晃が語る熱い思い…「重圧はレギュラーが感じること」

ソフトバンク・川瀬晃【写真:栗木一考】
ソフトバンク・川瀬晃【写真:栗木一考】

一打勝ち越しの好機で凡退…「ああいうところで打つ人がリーダーに」

 チームが連敗しているからこそ、抱く思いはより強くなる。スタメンであっても、そうでなくとも、持ち続けなければならない“覚悟”は変わらない。ソフトバンクは7日の西武戦(みずほPayPayドーム)に2-3で敗れた。この日「2番・遊撃手」でスタメン出場したのが川瀬晃内野手だった。初回1死で右中間に二塁打を放つと、3回の第2打席でも右前打で出塁。その後二塁に進塁すると、近藤健介外野手の中前打で、一時勝ち越しとなるホームイン。スタメン起用に応える活躍を見せた。

 しかし、8回に登板した杉山一樹投手が1点を失い同点とされると、9回にはダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が勝ち越し弾を浴び、逆転負け。今季初の4連敗を喫した。小久保裕紀監督も「今年一番苦しい時期がここに来たなって感じですね」と受け止めた。シーズンも佳境に入り、選手たちにも見えない重圧がのしかかり始める中で迎えたこの日。川瀬はどのような気持ちで試合に臨んでいたのか。自身が明かした、レギュラーとは少し違った感覚とは――。

「残りの試合数が少ない中で連敗が続いていたら、いろんなことを考えたりすると思いますし、それはレギュラーでやっている人たちが(プレッシャーを)一番感じていることなので。僕は試合にたくさん出る人じゃないので、それはレギュラー陣の方がきついだろうなと思います」

 試合後、川瀬はこう語った。自身も先発出場する以上、プレッシャーを感じないわけではないだろう。それでも、その緊張感はレギュラー陣が感じているものとは違っているという。

「最後は強い気持ちを持った人が活躍すると思いますし、そういった人が多いチームが勝てると思う。僕はたまにしか(スタメンで)出ないですけど、人一倍勝ちたいという気持ちを前面に出すことが大事だと感じているので。そこは意識していますし、残り少ない試合では大事になってくるんじゃないかなと」。気持ちはいつも勝つことだけに向いており、熱い思いは変わることがない。

 今季の川瀬は87試合に出場し、そのうちスタメンに名を連ねたのは18回。「途中から出ていったりとか、たまに先発で出る選手は、よりそういうのが大事なのかなと思います」。そう語るのは26歳が胸に秘めている覚悟だ。途中出場が多い川瀬だからこそ、常に大切にしてきたことでもある。

 その思いがプレーに現れたのが、3回の2死一、二塁の場面だ。近藤が放った中前打で、二塁走者の川瀬が生還。「全部回るつもりでやらないといけないので、自分が全力で走るだけでした」。特に際どいタイミングではなかったが、ヘッドスライディングで奪った得点。その姿からは、一瞬にかける思いと、勝利への執念が伝わってきた。

ホームインするソフトバンク・川瀬晃と近藤健介の勝ち越し打を喜ぶベンチ【写真:栗木一考】
ホームインするソフトバンク・川瀬晃と近藤健介の勝ち越し打を喜ぶベンチ【写真:栗木一考】

「そういう時こそ自分が出て、そういう姿を見せて盛り上げていけたらいいなと思っています。いい結果が毎日続かないのがプロ野球の世界だと思うので。あとはどういう姿で野球をするか、どういう姿をファンの方に見てもらうかっていうのが僕は一番大事だと思う」

 そんな川瀬の姿に、奈良原浩ヘッドコーチも目を細めた。「いい仕事をしたよね。本当にいい準備をしてくれているからね。そういうところも含めて起用している部分もあるので。しっかり応えてくれるのは頼もしいですよね」。活躍はもちろんのこと、高く評価したのは準備の部分。いつ出場しても、最高のパフォーマンスを発揮できるための状態を作っておくことは決して簡単なことではない。それを当然のようにやっているからこそ、首脳陣の期待も自然に大きくなる。

 8回に巡ってきた打席は2死満塁と一打勝ち越しの場面。ファウルで粘るも結果は一ゴロだった。「ああいうところで打つ人がリーダーとしてやっていくんだなって自分で思います」。今後自身がチームの中心選手になるために、必要なことは十分理解している。

 チームは今季初の4連敗を喫し、踏ん張りどころを迎えている。それでも「雰囲気が悪くなったりとかは全然していないですし、むしろやってるぞっていう気持ちの方がみんな強い」と川瀬。9月もまもなく中旬を迎え、残り試合も「21」と少なくなくなった。期待が高まるファンに対してどのような姿を見せるのか? もちろん川瀬は熱い思いを胸に、9年目のシーズンを最後まで全力で戦い抜く。

(飯田航平 / Kohei Iida)