首位独走も「余裕は全くない」 和田毅と倉野コーチが警鐘…忘れえぬ“2016年の悪夢”

ソフトバンク・和田毅(左)と倉野信次1軍投手コーチ【写真:竹村岳】
ソフトバンク・和田毅(左)と倉野信次1軍投手コーチ【写真:竹村岳】

和田は5日の本拠地・楽天戦で自身1か月ぶりの先発マウンドへ

 72試合を終えて49勝20敗3分けの貯金29で、2位・ロッテに12ゲーム差を付けているホークス(成績はすべて3日現在)。最短で6日にも優勝マジックが点灯する独走ぶりだが、「楽勝モード」に“待った”をかけるベテランがいる。

 プロ22年目の43歳左腕、和田毅投手だ。酸いも甘いも経験した左腕は、“大逆転V逸”を食らった2016年、チームの中心にいた。日本球界に復帰した同年は15勝を挙げて最多勝に輝いたが、最大11.5ゲーム差まで離した日本ハムに優勝をさらわれた記憶は、なお新しい。現状、弱点が見当たらないチームにとって最大の敵に挙げたのは「慢心」だった。

「本当にマジックが0になって、優勝が決まるまでは当然、どのチームにもチャンスはある。ただ単にうちが今、優位に立っているというだけなので。ゲーム差だけを考えると、そんな雰囲気が周りにはあるかもしれないですけど、チームとしては全然ないと思っています」

 チーム最年長左腕は、常に現状を冷静に見ている。気の緩みに警鐘を鳴らした一方で、今季ここまでのホークスが見せてきた“圧倒感”もひしひしと感じていた。「強いチームですよ、確実に。雰囲気もそうですし、やっぱりこれだけ先発が長いイニングを投げているというのが、近年ではなかなかなかったことなので」

 先発投手の防御率はリーグダントツの2.22をマーク。リーグ最多の8勝を挙げている有原航平投手をはじめ、リバン・モイネロ投手、大津亮介投手、大関友久投手、カーター・スチュワート・ジュニア投手、東浜巨投手と先発陣はいずれも防御率2点台以下(モイネロ、大関は1点台)を記録している。

 分厚い先発陣を象徴するかのように、和田自身の今季登板はまだ4試合。6月9日のDeNA戦(横浜)を最後に、マウンドに立っていない。投手陣を運用する倉野信次1軍投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)はこう解説する。

ソフトバンク・和田毅【写真:竹村岳】
ソフトバンク・和田毅【写真:竹村岳】

「先発陣が7人いる中で、今も競争は続いているという風に伝えています。位置付けも登板ごとに代わっていく、そういった意識がいい方向に働いているとは思います」

 ゲーム差に余裕がある中で、期待の若手を先発させるプランも出てきそうだが、倉野コーチはきっぱりと否定した。「あえて8番目、9番目を先発させるという考えは今はないです。安心感とか、余裕っていうのは全くない。いくらゲーム差が離れていたといっても、まだまだ試合数は残っているので」

 あくまでこれまでと同様の“ガチモード”で戦うことを強調した倉野コーチ。自身も2016年に投手総合巡回コーチとして歴史的なV逸を経験しているだけに、和田と同じ思いを口にした。

 和田は5日の楽天戦(みずほPayPayドーム)で自身1か月ぶりの先発マウンドに上がる。「やるべきことを今後もしっかりやるだけ」。ゲーム差は関係なく目の前の相手に全力を尽くす。その姿を後輩たちに見せるつもりだ。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)