来日2年目のヘルナンデスは勝ちパターンで防御率2.12と抜群の安定感
パ・リーグ首位を独走する大きな要因となっているホークスの救援陣。その中でも欠かせない存在となっているのが来日2年目の左腕、ダーウィンゾン・ヘルナンデス投手だ。全投球の79.1%を占める直球へのこだわり、そして今季から新たに背負っている背番号63の“秘話”についても迫った。
2023年シーズン途中からホークスに加入したヘルナンデス。今季は4月下旬に1軍登録されると、17試合に登板して2勝5ホールド、防御率2.12と安定感を示している。交流戦に入ってからは勝ちパターンの一角に入り、ここまで全登板で三振を奪うなど17イニングで28奪三振をマーク。奪三振率は脅威の「14.82」を記録している。そのうち23個の三振を奪っている決め球が直球だ。
「僕の真っ直ぐはしっかり指(人差し指と中指)を閉めて投げるから、結構動くんだ。子供のころからずっと真っすぐを投げてきたから、もちろん自信はあるよ。みんな真っ直ぐか来ることはわかっているけど、最後は自分を信じて投げるだけ。相手がホームランを打つか、自分が三振を取るか。そんな感覚だよ」
ヘルナンデスは「カーブやスライダーは自分の中では見せ球という感じ」と自己分析する。今季は最速155キロを計測した自慢の直球は被打率.167と優秀な数字を残している。川原弘之1軍アナリストの専門的な分析によると、投球がホームベースに到達する時点での角度を表す「VAA」(Vertical Approach Angle)の数値が極めて良好だという。
「打者から見ればかなり打ちにくい真っすぐだと言えます。球質に関しては僕のほうが“汚い真っ直ぐ”でしたね」。現役時代はヘルナンデスと同じ左腕で、リリースポイントも似ていた川原アナリスト。笑いながらも、そのすごみを語ってくれた。
来日1年目の昨季に付けていた背番号「61」を今季から「63」に変更した左腕。この番号は偶然にも川原アナリストが現役時代に背負っていたものでもある。ヘルナンデスの右腕には63の数字が赤色のタトゥーで刻まれている。
「ベネズエラのラッキーナンバーなんだよ。子供のころからあこがれていて、ホークスでもぜひ付けたいと思っていた背番号なんだ」。そう笑みを浮かべた左腕。「ベネズエラではスーパースターや、殿堂入りした選手とかが付けるようば背番号なんだ。日本でいえばイチローさんの51番みたいな感じだね」と教えてくれた。
試合前の練習中には「尊敬している」という守護神のロベルト・オスナ投手と野球談議にふけるシーンも見られる27歳左腕。自慢の真っすぐで相手打者をねじ伏せ、ホークスにとっての「ラッキーボーイ」となってみせる。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)