周東佑京に「飲まされたっす」 昨オフに行われた送別会…上林誠知が語る“盟友”の存在

ソフトバンク・周東佑京(左)と中日・上林誠知【写真:西田哲朗広報】
ソフトバンク・周東佑京(左)と中日・上林誠知【写真:西田哲朗広報】

「選手会長になった周東選手をそばで支えたかった?」…上林誠知の答えは

 鷹フルは中日の上林誠知外野手の単独インタビューを行った。4日から6日、バンテリンドームでの中日でのカードは2勝1敗。上林とホークスナインが顔を合わせる中で、ファンが再会を喜んでいたのが周東佑京内野手だった。明かしたのは、昨年に行われた送別会の雰囲気。「佑京ねぇ……。あいつは……」と、思い出の一部を語った。また、周東へのメッセージをお願いすると、上林らしい真っすぐな言葉でエールを送った。

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 昨オフ、福岡市内で送別会が行われた。集まったのは7人。上林と周東に加えて笠谷俊介投手、トレードで巨人に移籍した高橋礼投手と泉圭輔投手、戦力外通告を受けてホークスを去ることになった岡本直也投手と重田倫明広報だった。幹事を務め、お店を決めたのが上林だったそうで「同級生と、その1個下の代で。自分が幹事っていうか、なんかそんな感じになってましたけど(笑)」と苦笑いで振り返る。その中で「佑京ねぇ……。あいつは……」と、思い出を語り出した。

「飲まされたっすね」

 プライベートではほとんどお酒を飲むことはないという上林だが、この日ばかりは違ったようだ。「佑京も飲んでいましたしね」と、それぞれの門出を祝い合った。飲まされたことも「いいキャラしていますよね」と、なんだか許してしまう。年が明けた今も、周東の活躍は「スタートはよかったですし、佑京が1番にいることが相手も嫌だと思うし、プレッシャーも与えられると思う。年齢的にも怪我が増えてくる年ですし、ほどよく頑張ってほしいですね」と気にかけながら見守っている。

 今年から、周東が選手会長となった。前任の今宮健太内野手は「拓也(甲斐捕手)ではないかな、と。もう1個若い世代にしてもらう方が、チームにとっていいのかなって思った」と、1995年世代の周東(1996年2月10日生まれ)を選んだ理由を明かしていた。上林も「立場が人を変えるじゃないですけど、そういうのもあったと思います。そうやって選んだんじゃないですか」と同調する。「選手会長となった周東をそばで支えたかった?」と聞いてみると「みんなのことはどこにいようが応援していますよ」と、微笑んで語ってくれた。

 周東の存在を「年下感がある」とも語っていたが、お互いに年を重ねて、肩書きまで背負うようになった。2013年、ホークスに入団した支配下選手で高卒だったのは上林だけ。「(年下感があるというのは)佑京だけじゃないですけどね。同期っていうわけではないですし、みんな後から入ってきているので、そういう意味で言っているだけですよ」と言うが、周東に少しずつリーダーシップが芽生えていることは、しっかりと知っていた。

「もともと佑京は、高校の時とかもキャプテンしていたので。自分もそうですけど、やっぱり経験ある人は少なからずトップに立ってやっている。だから、普段思っていても言わないこととかあったと思いますよ。それは今、立場的に言える立場なので、いいんじゃないですか」

ソフトバンク・周東佑京(左)と中日・上林誠知【写真:竹村岳】
ソフトバンク・周東佑京(左)と中日・上林誠知【写真:竹村岳】

 2022年5月には右アキレス腱断裂という大怪我を負った。復活を期した2023年、56試合出場に終わり結果的に戦力外通告を受ける。上林が印象に残る試合として挙げていたのが、10月16日。ロッテとのクライマックス・シリーズ第3戦だった。勝つしかないホークスは、延長10回に周東の適時打で先制する。貴重な一打で、ヘッドスライディングで生還したのが上林だった。

 右足の状態を「毎日痛い」とも表現していた中で、決死の激走。「ああいう前進守備の中でギリギリ、セーフになったっていうところは『自分、よく頑張ったな』って。ここまで走れるようになったんだっていうのは感じました」と明かしていた。今振り返っても「あの当たりで帰って来られたのは、まだまだ老けていないなと思いましたね」と、周東と奪った1点は胸に刻まれている。

2023年10月16日のロッテ戦、代走で出場した上林誠知(当時ソフトバンク)【写真:荒川祐史】
2023年10月16日のロッテ戦、代走で出場した上林誠知(当時ソフトバンク)【写真:荒川祐史】

 バンテリンドームで、今は敵チームとして再会した。周東との再会をファンが待ち望んでいたことには「入ってきたのは自分よりも後でしたけど、“世界の周東”になっちゃった。それくらいのインパクトを、自分もまたほしいですね」と刺激に変えている。チームもリーグも別々になってしまったが、周東と一緒に「話題の中心にいたいですよね。SNSだったり、ファンのみなさんからの人気だけじゃなくて、プレーでももう1回、目指される選手になりたいです」と頷いた。野球界に起こる“熱”の中心にいたい。上林の原動力は、いつだって変わっていない。

 最後に、周東へのメッセージをお願いした。5月31日に柳田悠岐外野手が離脱したことを踏まえて「ギータさんがいなくなって、佑京だけじゃないですけど、みんなが危機感を持っていると思う」と言う。そして「また佑京がスタメンに戻った時に、プレッシャーを与えてほしいなって思います」。上林らしい、真っすぐで誠実なメッセージだった。

(竹村岳 / Gaku Takemura)