試合前に交わした小久保監督との言葉 前日は走塁ミス…周東佑京が明かした会話の中身

ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)と周東佑京【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)と周東佑京【写真:竹村岳】

小久保監督が苦言を呈した走塁ミス「あり得ないプレーを起こしている」

 2人で交わした言葉はどんな内容だったのか。ソフトバンクは9日、横浜スタジアムで行われたDeNA戦に5-8で敗れた。「4番の満塁ホームランと、5番(の筒香)嘉智のスリーランはダブルで効きましたね」と、小久保裕紀監督が振り返った一戦。同一カード3連勝を狙った試合前の練習中、指揮官と周東佑京内野手が言葉を交わすシーンがあった。

 5-3で勝利した8日の同戦は8回に同点に追いつかれたものの、9回に今宮健太内野手の適時打で勝ち越して白星を拾った。それでも、小久保監督は「ノーアウトランナーなしであの隙……。あり得ないプレーを起こしている隙だと思う」と苦言を呈し、わずか50秒で会見を切り上げて、言葉少なに球場をあとにしていた。

 指揮官が「あの隙」と指摘したのは、5回に訪れた周東の第3打席のことだろう。投手へのゴロを放った周東は全力で一塁を駆け抜けた。タイミング的にはアウトだったが、一塁手のオースティンが落球しており、判定はセーフだった。しかし、周東はアウトだと思ってしまったのか、フェアゾーンからベンチへ戻ろうとし、まだインプレー中だったため、挟まれてタッチアウトとなってしまっていた。

 接戦を制したものの、指揮官の言葉で緊張感も漂った前日の試合後から、一夜が明けたこの日、小久保監督はティー打撃を行う周東に声をかけた。2人の間にどんな会話があったのか? 周東本人はこう明かす。

「あれです。ずっと(試合に)出ていない時期、悪かった時と、昨日の2打席目とかの打席とでは何が自分の中で違うんだっていう話でした。昨日の走塁のことではないです」

ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・周東佑京【写真:荒川祐史】

 前日の走塁についてなにか指摘があったわけではない。2人の間で交わされたのは、バッティングの状態についての話。5月は月間打率.200と苦戦した。7日のDeNA戦で8試合ぶりにスタメンに復帰して2安打を放ち、8日も第2打席で二塁打を放っていた。悪かった時期との比較を2人で話し合ったようだ。

 小久保監督は基本的に選手への指導や注意は各担当のコーチに任せ、自身はコーチを飛び越えないことを信条としている。この日の会話も日常的に選手と行っている意思疎通と状態の確認で、周東も頷きながら耳を傾けていた。前夜のミスはあったものの、それを切り替えた上で、この日の試合を全力で勝ちに行っていた。

 小久保監督が「これだけチーム状態というか、貯金が増えてくる時に一番気をつけなあかんのは隙なので」と、キッパリと言った周東のプレー。5回1死で三ゴロに倒れ、ファウルゾーンを通ってベンチに戻った周東自身も「あっち(フェアゾーン)から帰らないようにっていうところですね」と反省の言葉を口にしていた。

 7回の打席で中村晃外野手が代打に送られたあとも、ベンチで必死に声を出していた周東。選手会長となってチームの先頭に立つ2024年。己のミスは受け止めて反省するのは忘れない。その上で、前を向き続ける姿勢だけは絶対に失わないと、心に決めて戦っている。

(飯田航平 / Kohei Iida)