2022年育成ドラフト14位で指名された盛島に期待を寄せた城島健司氏
ドラフト“最下位指名”から、とんでもない捕手に育つかもしれない。育成2年目の20歳・盛島稜大捕手への期待が急上昇している。
盛島が注目を集めるキッカケとなったのは、城島健司会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーターに絶賛されたことだった。2022年育成ドラフト14位で指名された大型捕手の盛島は、昨年の秋季キャンプで城島氏に「体が大きかった」と注目され、今年4月に行われた3軍の韓国遠征では「ジョー、あのキャッチャー、いいキャッチャーだな」と、試合を見ていた小久保裕紀監督の目に留まった。
さらに、城島氏から王貞治球団会長に話が伝わり、王会長までもが「明後日(筑後に)行くから(盛島を)見てくるよ」と注目することになった。この一連の流れに城島氏は「これも縁じゃないですか。野球界って実力もなんですけど、運が大事なんですよ。会長まで話が行くっていうことは、彼はもっているんですよ。だから、それをなんか活かしてほしいなと思って」と語った。
盛島自身は「(運を)実感したことはあまりないですね。『もってるなぁ』とか、ないです」と言うが、そもそものプロ入りがドラマチックだった。2022年ドラフト会議で指名された選手は支配下、育成含めて126人。盛島はその126番目に名前を呼ばれた。「ホッとしたというか……。巨人の指名が終わって、ホークスだけになって……。『もしかしたらないのかもな』っていうのは思っていたので。自分が呼ばれた後にドラフトが終わったので、よかったな、と」。最後の最後での指名は「運もあった」と感じている。
球団が寄せる期待は盛島にも伝わっている。「城島さんとは一度お話しました。『期待している』っていうのも言われました」と明かす。さらに、日米で活躍してきた城島氏から捕手としてあるべき姿も説かれた。「普段のことから、例えば『あの人髪切ってる』とか、そういう小さいことに気付けるようになったら、試合の中でも小さいことに気付けるようになる」などと助言も受けたという。
「あとは目標をもっと高く『日本だけでとどまるような選手にならないように、もっと世界を見て、もっと目標を高くしてやっておけ』と言われました」
城島氏から「世界」の言葉が出たことに驚きを隠せなかった。「まさかもっとデカいところが出てくるとは思わなかった」。大谷翔平投手とコンビを組むドジャースのウィル・スミス捕手に憧れてはいる。ただ、遠い海の向こうの存在で、“目標”にはならなかった。メジャーリーグでも活躍した城島氏からの言葉に「まだまだ頑張らないと」と、目指すべきところが遥かに高くなった。
「オレの19歳の時よりも圧倒的に上手そうだし、彼には将来的にはメジャーでやれるぐらいのスケールのデカいキャッチャーになってほしい。そういう期待を持っていますね。彼はそれだけの体とポテンシャルを親からもらったわけですから、努力次第で今後の人生は大きく変わってきます。そういうのをせっかく親からもらったんだから活かしなさいよっていう話はしました」
城島氏がホークスでレギュラーとなったのは、プロ入りして3年目。メジャーリーグに挑戦したのは、プロ12年目の2006年のことだった。盛島はまだ2年目と、可能性は無限に広がる。育成“最下位”指名から、どこまで行けるのか――。大きな期待を背に、大きな夢を抱く“大逆転人生”にしてもらいたい。
(上杉あずさ / Azusa Uesugi)