【連載・近藤健介】周東佑京に感じた“明らかな変化” 打撃職人が語る打率3割の可能性

ソフトバンク・近藤健介(左)と周東佑京【写真:小林靖】
ソフトバンク・近藤健介(左)と周東佑京【写真:小林靖】

月イチ連載後編は「近藤健介が語る周東佑京」

 近藤健介外野手の月イチ連載、後編のテーマは「近藤健介が語る周東佑京」です。ホークスでチームメートになる前から、2019年の国際大会「プレミア12」や、記憶に新しい2023年WBCでも日の丸をつけて戦った2人。今季から選手会長を務める周東佑京内野手に感じる「明らかな変化」とは。

 鷹フルをご愛読の皆さま、こんにちは。今回は佑京について話せればと思います。彼は一言でいえば「お調子もん」で、よく食事にも行く仲です。野球の面ではとにかくバッティングへの興味が強い。最近は少し結果が出ていないですけど、今年の佑京のスタイルは去年までとは明らかに違う感じがしています。

 変化を言葉で表現するなら、いい意味で「欲がなくなった」。今年は開幕からしっかり逆方向に打てていて、そういう徹底さが数字にもつながっていたのかなと。バッターって打席に入ったらホームランを打ちたいですし、強い打球を打ちたいと思うのは当然のこと。それでも今年はそういう欲を抑えている。僕にはそう見えています。

 もちろん、選手としてまた1つ、2つとレベルアップを目指すなら、長打というのは今後の重要な要素になってくる。それでも、足の速さは相手からすればやっぱり脅威ですし、今の球界にもあれだけの選手はいないです。自分が一番輝く部分をちゃんと理解して、技術云々というよりも「どうしたら貢献できるか」ということをより考えられるようになったのだと思います。

 佑京がシーズン打率3割を打てるか。その可能性は十分にあると思います。あのスピードは打率を上げていく上では大きな武器だし、なによりバッティングが好きだということ。めちゃくちゃ考えていますし、(今年の自主トレで取り組んだ)ドライブラインもそうですけど、いろんなことに興味を持って取り組める。そういう姿勢は僕も見習う部分が大いにありますね。

 僕の話で言えば、今年は開幕から打率3割を上回るスタートを切れています(5月終了時点で打率.329)。去年は5月が終わった時点で打率.247で、「大丈夫か」という声も聞きましたけど、自分の感覚では焦りはあまりなかった。長打率を上げるという目標があって、新たな成長の年だと思っていたこともありましたけど、(打率が)上がってくるだろうなと。数字の割に悪さを感じてなかったというのが正直な思いでした。

 その点では、今年のほうが(数字は)出てますけど、「感じ良くないな」っていう打席が多かった。(月間打率.319の)3、4月とかはもう全然。自分の思っているバッティングじゃないのに数字はついてるっていう感じ。気持ち悪さは当然ありましたけど、数字が出ていることが一番の薬でした。

 自分にとって打率は変動するもの。この時期はヒット数やホームラン数、長打の数を常に考えています。それぐらいでいいのかなと思いますね。

(聞き手・構成 長濱幸治 / Koji Nagahama)