「今日は結果が出なかったですけど、自分の野球人生においてすごくプラスにはなったと思います」。プロ初出場の感想を廣瀨はこのように語った。廣瀨の持ち味は積極的なフルスイング。安打は出なかったが、その姿勢は1軍に昇格しても変わらなかった。
そんな廣瀨の姿を見たルーキーたちは、それぞれの感想を抱いたようだ。廣瀨よりも先に1軍デビューを飾った村田賢一投手は「気合いが入っていた」と語る。続けて、その理由を明かした。
「初めてヘッスラ(ヘッドスライディング)を見たんで。大学では1回も見たことないんですから」
村田が驚いたシーンは、1点リードの6回2死満塁で巡ってきた第3打席。三塁線に転がった打球に対し、廣瀨が一塁へ頭から滑り込んだ場面だ。際どいタイミングも判定はアウト。ホークスベンチはリプレー検証を要求したが、結果は変わらず。惜しくもプロ初安打とはならなかった。
慶大出身の廣瀨と明大出身の村田は、東京六大学時代に何度も対戦してきた良きライバルでもある。廣瀨のことをよく知る村田だからこそ、廣瀨の“ヘッスラ”から必死さが伝わってきたという。
「何度も対戦しましたけど、あんなのないです。初めて見ましたよ。でも一生懸命やってるなと感じました。僕だけじゃないと思いますね、そう感じた人は」。
村田がこう語ったように、同じくルーキーの岩井俊介投手も感じるものがあったという。「惜しいファウルとかもあったんで、さすがやなって。ピリピリした緊張感の中でも、ちゃんとゴロも捌いていたんで。落ち着いてるなと思いました」と、廣瀨を称えた。
6月1日時点では出場5試合、計13打席ノーヒットの廣瀬。待望の安打はまだだが、同期が驚くほどの”一生懸命”な姿勢が、近いうちにプロ初安打へとつながるはずだ。
野手と投手でポジションは違えど、同期の姿は大きな刺激となる。廣瀨の1軍でのプレーについて語る2人の表情からは、言葉とは裏腹に悔しさが滲み出ていた。