柳町達に滲む決意「思い切り発散する」 今季初1軍…胸に秘める王会長の言葉

ソフトバンク・柳町達【写真:中戸川知世】
ソフトバンク・柳町達【写真:中戸川知世】

プロ5年目の柳町が今季初の1軍昇格…2軍では打率.333と好調をキープ

 背番号32がようやく1軍の舞台に戻ってきた。ソフトバンクの柳町達外野手が28日、セ・パ交流戦開幕となる巨人戦(東京ドーム)で今季初めて出場選手登録された。5年目の今季は開幕から2軍でプレーを続け、すっかり日焼けした27歳。様々な感情を飲み込み、地道にバットを振ってきた男がここから逆襲をかける。

 交流戦開幕を迎えた28日、柳町が東京ドームに姿を現した。「やっぱり外(屋外)よりも涼しいですね」と、さわやかなスマイルは変わらない。今季は2軍戦に40試合出場して、打率.333、1本塁打、17打点をマーク。なかなか1軍から声がかからない中でも気持ちを切らさず、結果を残し続けてきた27歳が口にしたのは強い決意だった。

「(1軍に)帰ってきただけじゃなくて、なんとか結果を残せるようにやるしかない。この時のために準備してきたので。それだけです」。昇格の知らせを聞いたのは26日だったという。湧きあがった感情は喜びよりも覚悟だった。「今までの思いとか気持ちっていうのを思いっきり発散するような感じでしっかり集中して頑張ればいいのかな」と力を込めた。

 2022、2023年と2年続けて100試合以上に出場。チームで一定の立ち位置を築いてきたが、今季は山川穂高内野手やアダム・ウォーカー外野手らが加入した影響もあり、開幕1軍入りを逃した。小久保裕紀監督からは「1軍の後ろ(途中出場)で出るタイプの選手じゃない。2軍に行って、1軍のレギュラー陣に何かあった時に(昇格させたい)」と自身の役割についてしっかりと説明を受けていた。

 モチベーションを保つのは簡単ではなかったが「僕がくじけていたら、若い子たちもくじけちゃうと思うので」で常に前を向いてきた。昇格した28日には小久保監督から「体調は問題ないな? 頑張れ」と声をかけられたという。

 28日の巨人戦は「王貞治デー」として開催された。2軍暮らしの中で、王会長から声をかけてもらう場面も多かったという。「『もっとホームランを狙ってもいいんだぞ』とか、いつもアドバイスをしていただいているので。頑張りたいですね」と拳を握った。

 1軍の試合はまだ100試合近く残っている。「もうやるしかないなって感じです」。苦しい2か月を乗り越えた柳町が、1軍の舞台で大暴れする。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)