21点大勝も今宮健太は笑顔控えめ…5月1安打からの快音連発も「何も仕事できてなかった」

ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】

3試合ぶりスタメンの今宮が1イニング2三塁打含む今季初の3安打

 チームの絶好調ぶりとは対照的だった背番号6にようやく笑顔が戻った。3試合ぶりに「2番・遊撃」で先発した今宮健太内野手が15打席ぶりに快音を響かせるなど、今季初の3安打をマーク。21得点をマークした打線の勢いに引っ張られるかのような活躍も、「明日打たないと意味がない」と喜びは控えめだった。

 うっぷんを晴らすかのような「猛打ショー」だった。2回に4点を奪い、なお2死二塁で迎えた第2打席で右前打。自身15打席ぶりの安打もあって、打線はこの回一挙7得点を奪った。9点リードの4回無死一塁では右中間を深々と破る適時三塁打を放つと、打者一巡で回ってきた1死満塁の第4打席では中越えに打球を運び、走者一掃の三塁打。1イニング2三塁打の離れ業をやってのけた。

 21得点を挙げる記録的な大勝。帰路につく選手も明るい表情が目立ったが、今宮の顔に浮かんだのは、喜びではなく安堵の色だった。

「(ここ2試合は)スタメンを外れていたので。もちろん自分の中で悔しいですけど、結果を出さないと試合に出られないのは間違いないので。なかなか数多くチャンスがあるとは思ってないです」

 キャリアハイの打率.296をマークした2022年、そして2023年と2年連続で規定打席をクリアし、正遊撃手としての立ち位置を確固たるものにした。一方で今季は40試合を消化した中で先発出場は32試合(途中出場5試合)。ここ5試合では3度のスタメン落ちもあった。

ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・今宮健太【写真:荒川祐史】

 15年目の今季は、昨季まで2年連続で務めた選手会長の役を降り「自分のことだけを考える」と臨んだ。3、4月は打率.262とまずますの出だしだったが、5月に入って極度の不振に陥った。21日の試合が始まるまで23打数1安打、月間打率.043。態度には出さないものの、ストレスは計り知れなかった。

「もっと自分が仕事できていれば、チームが得点できた場面はたくさんあったと思う。(周東)佑京(内野手)も状態はいいですし、2番として何も仕事ができていなかった」

 7月に33歳を迎える今宮だが、なお小久保ホークスに欠かせない戦力だ。「今日は打てましたけど大事なのは明日です。また明日」と視線を先に向けた。遊撃の定位置は自らの手で奪い取る。

(長濱幸治 / Kouji Nagahama)