三森が6日の日本ハム戦で今季1号を含む3安打4打点と躍動
「多分くっついてるんじゃないですか」。開幕直後に骨折した右手人差し指の状態を聞かれると、三森大貴はあっけらかんと答えた。全治4週間の見込みと診断されたにもかかわらず、2週間余りで実戦復帰。「僕にとって野球ができればそれが完治なので」。普段から口数の多くない男が示した気概だった。
6日の日本ハム戦(みずほPayPayドーム)。「9番・二塁」で先発した三森が躍動した。2点を追う2回1死三塁で北山のチェンジアップを中前に運ぶ適時打を放つと、同点の4回無死一塁では真っすぐを強振。弾道の低い打球はポール際の右翼最前列に突き刺さった。今季1号の勝ち越し2ランが最終的に決勝打となった。
5回にも左前に適時打を放ち、3安打4打点の大暴れ。右手指の骨折を負ったのは、4月2日のロッテ戦前に行われたシートノック中の出来事だった。診断は全治4週間――。そのアクシデントからほぼ1か月後に上がったお立ち台だった。「指が100%真っすぐになることは求めてないので」。スポットライトの裏側には、三森の強い覚悟があった。
「回復具合は7、8割ってところだと思います。病院の先生としては完治するのがもちろんいいと思いますけど、僕からしたら完治してなくても野球ができればそれが完治なので。問診表とか見てもあんまり気にしなかったですね。自分ができるか、できないかだけなので」
開幕前から牧原大成内野手と激しく二塁のポジションを争った。開幕スタメンは逃したものの、巻き返しへの思いは十分だった。そんな中、開幕4戦目の試合前に襲われたアクシデント。「落ち込んだというか、何してんだろうなって感じでした」。当初は落ち込んだものの、すぐさま前を見据えられたのは自身の感覚が「いける」と判断したからだ。
「ある程度(骨が)くっつかないと(プレー)できないと思うので。そこ(回復)の具合は自分の中では分からないけど。(回復が)7、8割でもできるならそれで別にいいかなと。人それぞれ考え方はもちろんあると思いますけど、そこまで繊細にいく必要はないかな思えたので」
2022年の7月にも左手の親指を骨折。この時も当初の全治期間よりもずいぶん早い復帰を果たした。「一昨年の骨折も同じ先生だったんですけど、(先生に)指が100%真っすぐになることは求めてないというのは話したので。先生も2回目で、僕のスタンスを理解してもらったことはすごくありがたかった」と、自らの意志を突き通した。
普段から必要以上のことは口にしない性分の25歳。今回の早期復帰についても「別に美談じゃないので」ときっぱり言いきった姿に見えた“サムライ魂”。チームのため、そして自らのため、三森は黙々とプレーを続ける。
(長濱幸治 / Kouji Nagahama)