中継ぎ3人が翌日使えなくなっても…4点差で“勝ちパ”投入した小久保監督の勝負眼

ソフトバンク・小久保裕紀【写真:小池義弘】
ソフトバンク・小久保裕紀【写真:小池義弘】

「明日のことを考えずに連敗を止めに行くって決めていた」

 迷いなき采配が連敗を3で止めた。ソフトバンクは5日、敵地ベルーナドームでの西武戦に4-0で勝利した。試合終盤、4点のリードがありながら、小久保裕紀監督は「勝利の方程式」の藤井皓哉投手、松本裕樹投手を投入。そのタクトは、連敗脱出への執念を感じさせた。

 好投手の隅田との対戦は幸先良く先手を奪った。2死から柳田悠岐外野手が遊撃への内野安打で出塁すると、山川穂高内野手が左中間を破る二塁打。一塁走者の柳田が激走で一気に生還して先制点を奪った。4回には柳田が4号ソロ。7回にも柳田が中前へ2点適時打を放って、リードを4点に広げた。

 先発の東浜巨投手は序盤から球数がかさみ、5回を投げ終えて97球。4安打無失点でマウンドを降りた。2点リードの6回はダーウィンゾン・ヘルナンデス投手を、4点リードとなっても7回は藤井、8回は松本裕と、ともに連投となる勝ちパターンの2人を送り込んだ。

 小久保裕紀監督は試合後、4点差ある中でのリリーフ陣の起用について、こう語った。

「今日はもう決めていました。今日は行く、と。明日のことを考えずに連敗を止めに行くって決めていた」

 世はゴールデンウイークの真っ最中。この日の西武戦が終わっても、6日から本拠地みずほPayPayドームで日本ハムとの3連戦があり、試合は続く。先を見据えると、できる限りリリーフ陣の連投は避けたいところだが、指揮官がプライオリティを置いたのは連敗を止めること。大量リードではなかったことから、惜しむことなく、藤井と松本裕を注ぎ込んだ。

 9回には前日サヨナラ負けを喫していた津森宥紀投手が登板。津森も連投となった。これまでの投手運用でいけば、藤井、松本、津森の3人は日本ハム戦のある6日は“不在”。ベンチメンバーに名前は入るとしても、肩さえ作らせない“休養日”となる。6日に3人を欠くことを覚悟の上で、この日の白星を確実にモノにしたかった。

 感じていたのはチームに漂う重苦しさだ。主軸に当たりが出ずに今季初の3連敗。この日も柳田が全4得点に絡む活躍を見せたものの、隅田をなかなか攻略しきれなかった。小久保監督は「ちょっと重苦しい雰囲気だった」と語る。ここで連敗を止めておかないとズルズルといきかねない――。そんな危機感を覚えたからこそ、連敗を「3」で“絶対に”止めるために、打てる手を打ったのだろう。

 6日の日本ハム戦は3人を欠いて戦うことになるが、指揮官に不安はないだろう。この日、6回に投げたヘルナンデスや守護神のロベルト・オスナ投手が控え、成長著しい杉山一樹投手や経験豊富な又吉克樹投手、若い長谷川威展投手、岩井俊介投手もおり、リリーフ陣全体への信頼は厚い。彼らでも十分戦えると、指揮官も倉野信次投手コーチ(チーフ)兼ヘッドコーディネーター(投手)も考えているはずだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)