柳田悠岐のカッコ良すぎた返事 「お礼を言いました」海野&スチュワートの感謝と反省

ソフトバンク・柳田悠岐(左)と海野隆司【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・柳田悠岐(左)と海野隆司【写真:荒川祐史】

柳田悠岐の逆転サヨナラ3ラン…バッテリーは口を揃えて反省「ないようにしないと」

 チームの顔が放った劇的アーチは、失意の底にいた若鷹をも救ってくれた。柳田悠岐外野手が4月29日の西武戦(みずほPayPayドーム)でサヨナラ3ラン。2点を追う9回2死一、二塁から右中間に運び、試合を決めた。ドラマチックな結末を迎えた中で、小久保裕紀監督は「一番救われたのは海野じゃないですか」と言う。ともに“ミス”した海野隆司捕手、先発したカーター・スチュワート・ジュニア投手はどんな心境だったのか。そして、ギータにかけられた言葉とは――。

 同点で迎えた5回の守備だった。先頭の佐藤にヒットを許すと、続く平沼はバントの構え。打球に力はなく、処理した海野は迷うことなく二塁に送球した。これが遊撃の今宮健太内野手の頭上を越えて失策になる。その後、勝ち越しとなる3ランを金子に浴びた。小久保監督も「今日のゲームははっきり言って負けゲームなんで」と言うほどの展開を、最後の最後に柳田がひっくり返してくれた。

 興奮と余韻だけが残った柳田のサヨナラ3ラン。海野もスチュワートも、ホームベースにできた歓喜の輪に加わっていた。小久保監督の「一番救われたんじゃないですか」という言葉、そして自分自身のミスを踏まえて、勝利という結果をどのように受け止めたのか。

「最高でした。一安心といえば一安心ですけど、ああいうことがないようにはしないといけないと思います。もちろん、反省の方が大きいです」

 手放しで喜ぶことは、できなかったようだ。プレーそのものも「急いで投げてしまった。上に抜けないようにというのは練習から常に意識しているんですけど、ああいうのが出てしまったということは、練習からもっと意識を持ってやらないといけない」と自分に矢印を向ける。野球に失敗はつきものだとしても、“捕手のミス”がどういうことなのかをわかっているから、反省しきりだった。

「キャッチャーっていうポジション自体が、やっぱり1つのミスでもすごく目立ちます。自分の数少ない経験ですけど、(捕手のミスは)勝敗に直結することが多いので、ミスしたら点が入ってしまう。1年間を通して完璧にできることはないですし何かしらのミスは起きるんですけど、そのミスをなるべく少なくしていかないといけないと思いました」

ソフトバンク・海野隆司【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・海野隆司【写真:荒川祐史】

 結果的に3点を失った5回のピンチに小久保監督は「あそこを切り抜けておくと、やっぱり野手の信頼も得られる」と振り返っていた。スチュワートも同じ意見で「もちろんです。たまたま海野選手がミスをした場面ではありましたけど、一緒にバッテリーを組んでいる中で私もミスをすることは多いですし、海野選手に救われたパターンもたくさんある」と語る。「ホームランを2本も打たれて、昨日の場合は自分の方がミスは多かった。野手に救われたような試合でした」と頭を下げていた。

 スチュワートにとっても登板3試合で勝ち星を掴めていない状況で、この日の西武戦を迎えた。158キロを計測するなど、序盤から飛ばしていく内容。この一戦にかける思いが強く伝わってきた。「すごく気合が入っていて、自分のプランをしっかりと作って、プラン通りには投げられたと思うんですけど。昨日(4月29日)のような投球を続けていけばいいことは来ると思う」とミスはありながらも、収穫もあった試合だった。全ては勝ったから言えることだ。

ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:荒川祐史】
ソフトバンクのカーター・スチュワート・ジュニア【写真:荒川祐史】

 逆転サヨナラ3ランだっただけに、スタンドインした瞬間に試合は決まった。海野は「もう最高でした、本当に良かったです」と胸を撫で下ろす。スチュワートも「個人的にもすごく嬉しかったですしチーム全体でも盛り上がって、最高の気分でした」と、心からの笑顔でホームインする柳田を待っていた。一夜が明けた30日には「今朝、柳田さんにお会いした時にお礼も言いました」という。柳田からは、カッコ良すぎる言葉が返ってきた。

「『全然。昨日もいいピッチングしていたからな』と、そんな感じでした」

 6回を4失点。スチュワート自身が納得のいくような内容でなくとも、労いの思いを伝えてくれた。劇弾を放ってホームインする時、柳田に見えていたのはナインが最高の笑顔で待っている景色だった。「いやまあ、嬉しそうやなっていう。みんな喜んでくれているなって感じです」。若手のミスを帳消しにするチームの顔。頼もしすぎる大黒柱だ。

(竹村岳 / Gaku Takemura)