中継ぎの負担の原因とは…81登板ペースも「楽です」 松本裕樹が語る“昨季との違い”

ソフトバンク・松本裕樹【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・松本裕樹【写真:荒川祐史】

「展開的に投げる展開になっているんで、気持ち的にも割り切っていけます」

 これほどまでに安心して見ていられる投手はいないだろう。鉄壁のセットアッパーとして8回に君臨している松本裕樹投手だ。ここまで14試合のうち、早くも8試合に登板して、防御率は0.00。開幕から8試合連続でホールドも記録しており、その安定感はチームでも随一と言えるだろう。

 11日に北九州市民球場で行われた日本ハム戦では、3点リードの8回に登場。先頭の水谷を空振り三振に斬ると、わずか11球で3者凡退に抑えた。舞台をベルーナドームに移した翌12日の西武戦でも、逆転に成功した直後の8回にマウンドへ。わずか13球で3者凡退に封じて、守護神のロベルト・オスナ投手にバトンを繋いだ。

 チームはここまで14試合を消化して10勝4敗。松本裕は勝ちゲームのほとんどに投げている。接戦が多いのも理由ではあるが、シーズンに換算すれば81試合というハイペースで、そのコンディションを心配する声もある。では、当の松本裕自身はどう感じているのだろうか? その心中を聞いた。

「展開的に投げる展開になっているんで、気持ち的にも割り切っていけますし、ちゃんとホールドがついたり、そういう場面で投げているんで。ポジション的にも決まっているんで、1回作ったら投げに行くとかなので、やりやすいですね」。松本裕自身は、ここまでの登板数の多さを悲観的には捉えていない。

 というのも、中継ぎ陣にとって大きな負担になるのは、試合での登板だけに限らないからだ。ブルペンでの投球練習を何度も繰り返すこともあり、結果的に試合での登板がなくとも、このブルペンで肩を作る準備の回数も負担になる。記録上は連投になっていなくとも、実際には3連投、4連投と変わりない状況になっていることもある。予期せぬタイミングでの登板や準備も肉体的、精神的な負担に繋がる。

「『この展開でも投げるのか』みたいなのがないから、気持ち的にも割り切っていけます。ちゃんとホールドがついたりとか、そういった場面で投げているんで、そんなものだろうなって思っています。去年は5回途中とかでの登板もありましたし、点差が開いたら9回も投げます、みたいなのがあった。投げても投げてもホールドがつかないとか、そういうのもあって気持ち的にスッキリしない部分もありました」

 昨季序盤、松本裕は試合展開を問わない“便利屋”という立場だった。今季はそれとは違い、セットアッパーとしての役割を託されている。登板を想定しやすく、当然、準備の回数も少なくて済む。その上で、今季の違いをこう語る。

「今年は連投するんですよ。去年までは投げて(間隔が)空いて、投げて、みたいのが多かった。連投のための準備はして投げないけど、次の日は投げるから、結局は毎日投げているみたいなのがあった。パッと連投して(間隔が)空いて、みたいな方が全然楽ですね」。登板回数が多い割に、大きな負担はかかっていないというのが現状だ。

 接戦が多く、すでに3度の連投をしている一方で、連投翌日はハッキリと“休み”になっている。連投して迎えた13日の西武戦(ベルーナドーム)で、松本裕とオスナは先発のリバン・モイネロ投手とともに、チーム本隊よりも遅れて球場入り。身体を休められるための首脳陣の配慮だった。ベンチ入りメンバーに名前は入っていたが、登板予定はなし。14日の同戦も、松本裕は登板機会の多さを考慮されて試合前から欠場が決まっていた。

「ただ試合だけの疲れなんで、気持ち的に充実しますし、しっかり休めるときは休んでっていう感じなんで、そっちの方がいいですね。投げ過ぎではあるけど、まだ始まったばかりっていうのもありますし、これがずっと続くわけじゃない。どうせどこかで1週間投げなかったりする可能性もあるので」

 いかにいいコンディションで投手陣がシーズンを戦い抜けるかは、4年ぶりのリーグ優勝の鍵を握る。ここまでハイペースで登板している松本裕だが、その言葉は力強く頼もしい。まだシーズン序盤ではあるが、首脳陣も考えを巡らせており、今のところ心配はないようだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)