2番・今宮健太への“信頼”…なぜ一塁から一気に生還できた? 周東佑京が語る“やりやすさ”

ソフトバンク・今宮健太(左)と周東佑京【写真:竹村岳】
ソフトバンク・今宮健太(左)と周東佑京【写真:竹村岳】

8回1死一塁、今宮の右翼線二塁打で周東佑京が生還「スピードを落とさず」

 貴重な追加点を奪ったのは、2024年も健在の“神走塁”だ。ソフトバンクは31日のオリックス戦(京セラ)に5-2で勝利した。周東佑京内野手の足が輝いたのが、8回の攻撃だった。1死一塁から今宮健太内野手の右翼線への打球で、一気に生還。4点目のホームを踏んだ。打った今宮も「まさかかえるとは」と苦笑する周東のスピード。開幕カード3試合で固定起用された“1・2番コンビ”が、互いの存在を語り合う。「健太さんとは話し合ってやっているので」。

 カーター・スチュワート・ジュニア投手と田嶋大樹投手の投げ合いは、5回を終えて1-1。7回にホークスが2点を奪い、勝ち越しに成功した。迎えた8回、周東が四球で出塁。左腕の山田修義投手に対して、打席に立ったのが今宮だった。初球を振り抜くと、球足の速い打球は一塁の横を抜けた。周東はスピードを緩めることなく三塁を蹴ると、最後はホームにヘッドスライディングだ。

 打球はフェンスに到達せず、右翼の杉本裕太郎外野手が処理。二塁の太田椋内野手がカットに入り、本塁に送球する中継プレーだった。試合中の広報コメントで、今宮は「あの打球で佑京(周東)がよくホームまで走ってくれました」とコメントしていたが、試合後、打った本人も驚いていたことを明かす。

「ここ最近は初球を見逃していたので、ここは行ってみようかなと思って行きました。まさか帰るとは思わなかったですね」

 記録は二塁打だったが、中継プレーの間に三塁まで到達していた今宮も隙がない。開幕3試合で、初球が結果球になったのは、今宮にとってこの11打席目が初めてだった。走者がいない状況なら別だが、塁上に周東がいれば作戦面での役割も求められる。状況に応じた待球や右打ち、バントなど、“周東の後ろ”であることを踏まえて、2番としてどんな意識で打席に臨んでいるのか。

「僕もそれ(周東が走ること)を待ちながら打席に入るだったり、仕掛けていくところは仕掛けていくとか、いろんなことを考えながらやっています。走りやすいとか、走りにくい投手もいると思うので、そういうところは佑京とも相談してやっています。あまり深くは考えないように、行く時は行くし、待つ時は待とうかなと。そうやって割り切って打席に入っています」

 大切なのは、打席の中のメリハリだと強調する。もちろん、塁上の周東の存在を踏まえながらも、投手としっかり向き合える今宮の技術と経験が成せることだ。現役選手では最多の通算370犠打を誇り、2番としての経験も豊富だが「今までの2番の形とはちょっと違う。今まではバントで(繋ぐ)という感じでしたけど、どちらかというと今は頭の方からそういう(バントで繋ぐという)感じではない。いかに塁に出ていい形で回すか」と、自覚している役割は明確。今宮が2番にいるからこそ、周東の足がより輝ける。

ソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】
ソフトバンク・周東佑京【写真:竹村岳】

 常に“最悪”を想定するのが周東佑京の走塁。山川穂高内野手がいなかった昨季の言葉ではあるが、長打が期待できる近藤健介外野手や柳田悠岐外野手が打席に入る状況について「自分がランナーの時はギーさんとコンさんが多いし、無理をしなくていい。どっちかがヒット1本出るだろうって」と語っていた。本塁打になれば複数得点が入るし、自分の足なら外野の間を抜ければホームにまで生還できるからだ。年をまたいだ2024年、2番に今宮がいることが「やりやすい」と表現する。

「健太さんとも色々と話し合いながらやっています。走ることが全てではないですし、打つことも全てではないですけど、いろんな作戦がやりやすいと思います。健太さんが後ろにいることで、僕がやりやすいところもありますし」

 山川や、アダム・ウォーカー外野手を加えた新しい打線でリードオフマンを託される。3試合で2盗塁。出塁率.250ではあるが、積極的に仕掛けていく姿が印象的だ。それも「行ける時に行こうかなと。健太さんも1打席目、2打席目とすごくいい形で打っていたので、チャンスで繋げばと思っていました。だから初球から(スタートを)切れていると思います。特に健太さんはこっちの動きを見ながらやってくれるので」と、まさに今宮への信頼があるから迷いなく走ることができている。

 この日の8回1死、フルカウントからラストボールを見送って四球を選んだ。打率.100で迎えた打席で、今季2つ目の四球。安打を重ねたい状況でも「我慢です。今年のテーマは我慢なので。今年のキャンプの時からジョーさん(城島健司会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーター)に口酸っぱく言われています」とバットを出さなかった。一塁から生還した走塁についても「最後までスピードを落とさずにと思っていました」と胸を張る。数字を上げたいと本人が一番思っているだろうが、今季も1番・周東の存在感は際立っている。

 開幕2試合を無安打で終えて、この日の2打席目に三塁線へのセーフティバントで初ヒットを記録した。試合前練習中には「人生、なかなか思うように行かないです!」。苦笑いを浮かべていたが、自身の足が勝利にもがった。周東の笑顔に比例するように、きっとホークスも開幕ダッシュを切っていける。

(竹村岳 / Gaku Takemura)