とにかく“バズりたい”中村亮太 内に秘めるSNSで抱く野望…なぜXが“誕生日bot”になった?

ソフトバンク・中村亮太【写真:竹村岳】
ソフトバンク・中村亮太【写真:竹村岳】

ファンの中で根付く“キャラ”…投手陣を祝う「今日は和田さんの誕生日です」

 なぜ、自身のX(旧Twitter)が“誕生日bot”と化しているのか。育成の中村亮太投手は春季キャンプでA組入りし、2月のスケジュールを終えた。3月からは2軍合流となってしまったが、首脳陣に足跡を残そうと、必死に腕を振った2月。150キロを超える直球にフォーク、何よりも多彩な起用に応えるタフネスぶりが最大の武器である右腕だ。中村亮のもう1つの魅力が、SNS。X(@nakamuraryota_)の活用について、本人を直撃してみた。

 始まりは10月10日。「今日は椎野さんの誕生日です」と椎野新さんの誕生日を祝う投稿をしていた。その後は高橋礼投手、甲斐野央投手、板東湧梧投手と、投手陣の誕生日に同じ文言と顔文字で投稿をするのが恒例に。「安定に誕生日紹介botすぎる」「完全にホークスの誕生日botと化した中村くん」「誕生日お知らせマン」と、ファンの中でも少しずつ中村亮の“キャラ”が根付いてきている。

 一体、どんな経緯で、どんな目的で始めた投稿なのか。本人に聞いてみると、少し照れ笑いしながら明かしてくれた。

「自分は人のを見る用だったんですけど、インスタもXも。インスタは順調に『フォローお願いします』と言ったらフォロワーが増えていたんですけど、Xがなかなかうまく利用できなくて。たまにDMでも『Xは生きてますか?』って来たりもして、それもあって『何かしら投稿しよう』と思った時に、ピッチャーの誕生日をもっと多くの人に知ってもらった方がいいなって思ってやり始めました。10月くらいから始めたら意外と評判が良かったので」

 マウンドではあまり表情を崩さない中村亮。クールな印象があったが、意外な“野望”も教えてくれた。1度はSNSで“バズりたい”そうだ。

「それで『じゃあこのまま自分の誕生日まで頑張ってみよう』って思って、今のところ和田さんが一番“いいね”をしてもらっていました。自分が10月から続けてきたこの投稿で、5月の自分の誕生日に『今日は自分の誕生日です』って投稿して“バズった”時にはもう、やってきたら良かったなって思えるんじゃないかなって(笑)。ちょっとした暇をつぶしながらの楽しみって感じです」

 10月7日、ファーム選手権が宮崎で行われ、ホークス2軍が日本一に輝いた。椎野は怪我をしていて、その輪に加わることができず。中村亮は椎野の34番のユニホームを掲げながら、優勝を味わっていた。その3日後が椎野新投手(昨季限りで現役引退)の誕生日でもあったため「椎野さんもその時は元気なかったと思うので『今日は椎野さんの誕生日です』って。ちょっと元気になってもらえたらって思いでやりました」と、最初は後輩なりの思いやりがきっかけだった。

 その後も“誕生日bot”としての役割は続く。「礼(高橋)さんとか甲斐野さんも誕生日が近くて『やらなきゃ』って思って」と、自身のマメな一面が意外な形で生きている。使う顔文字も必ず同じで「あれ、自分に似てるって言われるんです(笑)。あれはもう僕がつぶやいてるんだって思ってもらえたら(笑)」と、ここもまた意外な一面だ。

 直近で、現実でも誕生日をお祝いしたのは松本晴投手だったそう。2月24日が誕生日で、後日の練習後に「おめでとうって言って、ご飯を食べに行きました」と、大津亮介投手とともに鶏を食べに行った。「晴が『今日ウエートしたので、鶏食べたいです!』って言っていたので」と、ご馳走したという。中村亮の誕生日は5月18日。自分なりの細かな工夫も重ねながら、陰ながらに継続していくつもりでいる。

「まず、自分はお世話になっている投手陣の人を続けていけたら。実は3月、結構いるんです。泉(圭輔投手、巨人)も誕生日ですし、ホークスではないんですけど、そこはやりたいですし。2月はこの人、3月はこの人ってその月のはじめに見るようにしていますね。これからも調べて続けていきたいです」

 当然、本職は野球。支配下を狙う立場なのだから、慎ましくいないといけないことも理解している。「まだ育成で、1軍のマウンドで知ってもらうことが一番なんですけど、多くの人にもっと知ってほしいです。応援されて、その人に応えてプレーして恩を返していけたら」。チームメートでは又吉克樹投手が“広報”と呼ばれるほど、SNSをうまく使ってファンと交流している。「又吉さんほどはうまくできないですけど、SNSでも生きているところを見せられたら」と、また照れ笑いで語った。これを読んで下さった方はぜひ、5月18日の投稿に“いいね”をしてあげてください。

(竹村岳 / Gaku Takemura)