自分の“後ろ”を打った山川穂高は「やっぱりすごい」 柳田悠岐が語る“相乗効果”

2ランを放ったソフトバンク・山川穂高(右)と柳田悠岐【写真:竹村岳】
2ランを放ったソフトバンク・山川穂高(右)と柳田悠岐【写真:竹村岳】

3回に一気に逆転…柳田悠岐が同点の2点二塁打、山川穂高が勝ち越し2ラン

 確かな相乗効果が、1試合目にして現れた。「えぐかった」「マジか」。主砲にしかわからない“共鳴”だ。ソフトバンクは24日、台湾・楽天モンキーズとの練習試合で11-4で勝利した。柳田悠岐外野手が同点打を放てば、山川穂高内野手が勝ち越しの2ラン。打順でも並んだ2人が、お互いの存在をどう感じあったのか。山川は、目の前に好打者がいることを「勉強になる」と表現する。

 柳田は「3番・右翼」、山川が「4番・一塁」で先発した。2点を追う3回無死一、二塁に柳田が左中間フェンスを直撃する2点二塁打を放ち、続く山川が初球の変化球を左翼ポール際に運んでみせた。昨オフに西武から国内FA権を行使して移籍し、初めてのアーチ。「ちょっと緊張しました」と苦笑いするものの、結果でファンの期待に見事に応えた。柳田の打球を見ていた山川が「あのフェン直も『マジか』みたいな感じ」と目を丸くすれば、柳田も山川の一発を「えぐかったです」と唸るしかない。2人の存在が、3回のビッグイニングに繋がった。

 2023年、ホークスのチーム打率.248、104本塁打はリーグ2位(本塁打は2位タイ)。536得点は同トップと、近藤健介外野手が加入したことで確実に打線に力はついていた。山川というスラッガーを迎え入れて、2024年初の対外試合。通算218発の山川が後ろにいたことを、柳田はどう感じて、打席に立っていたのか。

「すごいですよ、やっぱり。一撃でああやって試合の流れが変わるので、ホームランは。終盤とかでも、ここという時にチャンスがあると思うので、頼りになります」

 結果的にも決勝弾となった山川の2ラン。改めて、試合において本塁打が持つ影響力を思い知った。柳田自身は「何番になるのかわからないので、何番になっても自分のバッティングができるように。それだけ考えています」というものの、近藤を含めた3人が中軸となることだけは確か。2人の存在が、柳田自身をもさらなる高みへと連れて行ってくれるはずだ。

 山川自身も、自分の前に柳田がいることを「僕からしたら、ギータさんが前にいることなんてとんでもないことですよ」と表現する。この日は3番から柳田、山川、近藤という並び。村松有人打撃コーチは「いろいろと試す段階ではあるんですけど、ジグザグにしたいのはありました」と狙いを語る。2安打を放った近藤も含めても「山川がやっぱり大きい。今までは柳田と近藤でいろんな組み合わせがありましたけど、右を挟む形になると思う」と、山川がいるだけで思い描くイメージは何倍も大きくなる。

 山川は2019年に43本塁打でタイトルを獲得した。同年は森友哉捕手が打率.329で首位打者、秋山翔吾外野手が179安打で最多安打、中村剛也内野手が123打点で打点王、金子侑司外野手が41盗塁で盗塁王など、チームメートだった西武ナインが打撃タイトルを総ナメした。打線において、自分以外に好打者がいることは「勉強になる部分が一番大きいですし、心の余裕にもなる」と語る。

「浅村さんが前にいた時っていうのは、どういう攻め方されるのかなっていうのは見ていましたし。浅村さんが何を打ったのかを踏まえた上で僕が『どうしようかな』っていうのもあったので。前のバッターがガンガン打つと、僕も乗っていけますし、それが一番大きいんじゃないですかね。色んな意味で明らかにメリットの方が多い」

 中軸の存在感は、これまで以上に際立つシーズンとなるだろう。村松コーチも「1、2番が鍵になると思うし、中軸の前が大事になる」と足元を見つめる。3回、柳田の2点二塁打の“前”。チャンスを作ったのは周東佑京内野手と今宮健太内野手の四球だった。小久保裕紀監督も「返す選手と繋ぐ選手がハッキリ分かれている打線の中で、今宮のあそこの四球はあの回の大量得点に繋がった。返せるバッターが中軸にいるだけに、あの四球は光りました」と評価する。打線の破壊力を引き出すためにも、それぞれがプロとしての役割を果たしていく。

 2月も終盤となり、ホークスにとってもオープン戦の開幕が近づいてきた。柳田が「しっかりとボールの見え方もいいですし、いいんじゃないですか。怪我もなくこられているので」とここまでの状態を語れば、山川も「どこを打つかわからないですけど、あれだけのメンバーに入れれば心強いですし、自分ももっとしっかりやっていかないと」と表情を引き締めた。2024年型のホークス打線は、ファンにどれだけの“夢”を見せてくれるのか。

(竹村岳 / Gaku Takemura)