メニュー表見て「恥ずかしい」…A組抜擢も抱く複雑な感情 育成3年目・川村友斗の危機感

ソフトバンク・川村友斗【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・川村友斗【写真:藤浦一都】

仲田慶介や西尾歩真らと共通する思い“育成選手はプロ野球選手じゃない”

 覚悟と決意に満ちたキャンプA組スタートとなっている。ソフトバンクの育成選手・川村友斗外野手が支配下昇格に向けて必死に汗を流している。「(背番号が)2桁にならなきゃ何も始まらないので。まずは支配下を目指して、アピールしていくというのが最初の1番の目標です」。2022年に入団した川村にとって今季が節目の育成3年目。2024年に懸ける思いは人一倍強い。

 8日に行われたフリー打撃では打撃投手として登板した2年目の大津亮介投手から右中間を破る長打性の当たりも放った。オフにはプエルトリコのウインターリーグに参戦。そのままアメリカへと渡り、シアトルの「ドライブライン・ベースボール」でもトレーニングに励んだ。海外での武者修行に送り出した球団の期待の大きさが伺い知れる。

 文化の違うプエルトリコでは大きな学びを得た。現地の選手たちのパワーを目の当たりにして「コンパクトなバッティングが自分のスイングだなと再認識できた」。野球に臨む姿勢についても「向こうの人はミスしても全然オッケーというか、すごく楽しそうにやっている。でも、実はその裏ではすごく準備をされていた。そこが1番ギャップを受けました。準備は大切なんだ、と思わされました」という。

 育成選手にとっては勝負の3年目。支配下を勝ち取れぬまま今季が終われば、規約により自動的に一度、自由契約になるだけに危機感も募る。「結果が出なかったら強制的にクビになっちゃう年。今年が始まる前に、自分としては腹を括ってやり切る、上を目指してやるだけと意気込んできました」。

 昨年も支配下昇格に近づいた1人だった。キャンプ中にA組に昇格すると、オープン戦でも結果を残し、支配下登録へ有力候補とされた。ただ、残る支配下枠の少なさや外野手の層の厚さもあって、開幕前に吉報は届かなかった。開幕後はファームで3軍落ちも経験。支配下登録期限の7月末を前にダーウィンゾン・ヘルナンデス投手が加入して支配下登録枠は埋まり、シーズン中の昇格という夢は潰えた。

「正直(支配下は)ないなとは思っていました。ただ、2軍で仲田(慶介)とか西尾(歩真)とか3桁の人たちが必死にやっているのを見て、置いて行かれちゃダメだと思ってやっていました」

 シーズン中に支配下になれるとは思っていなかった。ただ、2軍で試合に出続けている、同じ3桁の背番号の面々の動向は気になっていた。彼らと、川村に共通していた思い、それは“育成選手はプロ野球選手ではない”ということ。それは、共にキャンプA組に抜擢された今も変わらない。

「僕もそう(育成はプロ野球選手ではないと)思っています。今もA組にいるんですけど、キャンプのメニュー表とかを見ても(背番号は)3桁なので恥ずかしいな、と思います。2桁がいいな、2桁になりたいな、という思いはすごくあります」

 現在、ホークスの支配下登録は62人。上限の70人には8枠の余裕がある。開幕前に67枠が埋まっていた昨季と比べれば、大きなチャンスであることは間違いない。川村自身も「(残る枠が)少ないよりも多い方がモチベーションは上がります」と正直な思いを明かす。だからこそ、A組で送る日々にもより一層、力がこもる。

 第2クールの初日には小久保裕紀監督から声をかけられた。「全体練習が終わるのは早いんですけど『周りが終わっても、どんどん人を見つけて練習していいんだからな』『遠慮するなよ』と言われました」。指揮官からの“もっとやれ”というゲキとも受け止めた。1日1日を大切に――。川村友斗は悲願の支配下昇格へ、アピールを続けていく。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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