習得したい“逆の球種”…大津亮介が語る投球術の変化 明かした先発用スタイル

ソフトバンク・大津亮介【写真:藤浦一都】
ソフトバンク・大津亮介【写真:藤浦一都】

春季キャンプ初日からブルペン入り…全球種を交えて48球「いつでも行ける状態」

 身も心も、先発仕様にしてきた。ソフトバンクは1日、宮崎・生目の杜運動公園で春季キャンプをスタートさせた。初日からブルペン入りしたのが、大津亮介投手だ。全球種、48球を投げて「仕上がりは、もういつでも行ける状態にしてきているので、あとは順調に怪我なくいきたいです」と汗を拭った。「先発に対して本気で取り組める」という意気込みが、内容にも表れていた。その真意に迫る。

 ルーキーイヤーだった2023年は中継ぎとして46試合に登板して2勝0敗、防御率2.43。13ホールドを記録して、ブルペンの一角を担った。オフとなり小久保裕紀新監督が率いる新体制になると、指揮官から直々に先発転向を通達された。1月の自主トレでは沖縄でオリックスの山岡泰輔投手らと過ごし「体の使い方、体幹を自分でどう操るのかをメインに教わってきました」と振り返る。

 カーブ、チェンジアップ、スライダー、カットボール、スプリット、ワンシームなど7球種を操るルーキーとしてプロの門を叩いた。昨年のこの時期は「言われていなかったです」と、シーズンでの起用法はまだ明確ではなかった。先発調整に取り組んできたオフ。「目標が決まっているので、去年よりは過ごしやすいキャンプです」と、納得して過ごしてきたつもりだ。ずっとこだわってきた先発への思いが、キャンプ初日のブルペン投球にも表れていた。

「先発の方がより多くの球種を使って、全ての数値を均等にしたい。それくらいのイメージで練習したいです」

 試合をゼロから作る先発と、すでに試合が動いている中で登板する中継ぎ。確実にアウトを取るためにも、得意な球種の割合が増えるのがリリーフの特徴だ。大津も「(偏りが)出ますね、明らかに真っ直ぐが多かったです。(困った時は)去年はスライダーとカットボールが多かった」と、曲がり球を操って結果を残していた。「ちょっと割合を減らして、僕は色々と投げたいので。10%ずつだったり、均等なのが理想です。球種が多い分、同じ数値くらいにしたいです」と強調する。

 先発転向する今季、精度を上げようとしているのは、曲がり球と逆に曲がる球。「左打者から逃げるボール、右打者の内側に食い込むボールを使いたい」と、ツーシームやワンシームの割合を増やし、投球の幅を広げようとしている。山岡から学んだことについても「投げた後の過ごし方だったり、どう1日を過ごしてどの日に休んだりするのか、山岡さんなりのアドバイスでした」と、オフの全てを先発につなげるために取り組んできた。

 小久保監督も、大津のブルペン投球も見つめていた。言葉を交わすことはなかったが、指揮官から先発転向を伝えたのだから期待も大きいはず。他にもリバン・モイネロ投手が先発に挑戦するなど競争は激しいが「すごいピッチャーですけど、先発としては同じスタートラインだと思う。結果でアピールできるようにしたい」と意気込みを語った。自分にしかない「幅」を生かして、競争を勝ち抜いていきたい。

 開幕ローテーション入りのためにも「まずは怪我をしないこと。あとはブルペンに入って、投げて、先発としてできるということをアピールできれば」と今後を見据える。「入団した時から先発がやりたかったので、ようやく先発に対して本気で取り組めるので、やれることはやっていきたいです」。2年目を迎えた大津亮介には、明確な目標とモチベーションがある。

(竹村岳 / Gaku Takemura)