選手が試される「何をしてもいい」時間 課されたのは2つのルール…小久保監督のコメント全文

ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)【写真:竹村岳】
ソフトバンク・小久保裕紀監督(左)【写真:竹村岳】

宿舎に到着して選手の前で訓示「15分くらい話したから説明難しい」

 ソフトバンクは31日、キャンプ地である宮崎入りした。宿舎に移動し、小久保裕紀新監督が取材に応じた。球団が掲げる理念「目指せ世界一」を、なぜ、どこで、どのように目指すのか、統一しておきたいビジョンを明確に語った。またA組に選ばれた野手は20人。そのうち4人をローテーションして「何をしてもいい」という時間を設けるという。その意図も明かしていた。コメント全文は以下の通り。

――選手の前ではどんな話を。
「15分くらい話したから、説明難しいな(笑)」

――ルールなどを伝えた?
「ルールは後の話なので、基本的にはビジョンを伝えておかないといけない。今年のスローガンは『VIVA』やけど、孫オーナーが前身のダイエーホークスを買収されて、球団のオーナーになられて『目指せ世界一』というのが、スローガンでありビジョンですよね。現時点で、我々はどこに向かうのかということになると、世界一決定戦は実際はまだないけど、5年後、7年後、10年後にはひょっとしたら、大谷翔平が率いるドジャースと日本のチャンピオンチームが戦う場が来るかもしれない」

「わからないけど、でもそこに出場するに値する、ふさわしいチームになっておくことが大事。だからオーナーが掲げられている以上、我々はそこに向かいましょう。どこに向かうのか、世界一のチャレンジャーにふさわしいチームになっておくことが大切なんじゃないですか。それが“where”」

「なぜ、“why”。なぜそれが必要なんですかとなれば、昨年孫オーナーが講演された時に話されていた。やっぱりAIが、企業試験まで合格している。10年以内にはAGIが来る、と。さまざまな人の働き方が変わる。その中で『野球は永遠』『スポーツは永遠』だとおっしゃっていました。それは、今日のみんなにはその孫オーナーの言葉を僕は伝えるべきだと思ったので」

「世界一を目指すチームになっておく、なぜかというと野球というのはもっと価値が上がっていくものになるから。人は感動なしでは生きていけない。人々に感動、興奮、熱狂、喜び、悲しみ、悔しさ、そういう心が震えるものが残っていく。だからスポーツは永遠だと、だから我々はそのチームを目指していかないといけない」

「じゃあどうやってそのチームを目指すのか。王イズムの継承と、最先端技術を取り入れた指導であり、環境を整えることというのが“how”です。その3点です」

――ルールに関しては、今日はそこまで話していない。
「しましたよ。2点だけ。全体練習は帽子を被ること。ファームでやっていたことと一緒です。あとはチームプレーに関しては絶対にユニホームを着用すること。それはブルペンのスタッフの人も一緒。どれだけ寒くてもユニホームで受ける。投手がピッチングをちゃんとする時間は、個別は別ですけど、全体練習の時は必ず、試合の時も必ずです。寒さは下(ユニホームの下)でしのげるように工夫してもらいます」

「あとは、アップの時はマーカーからマーカーまできっちり走ること。笛とともにきっちりスタートを切る。これは、勝利の女神は細部に宿るって去年話したけど、それが勝負の哲学。だから、その2点をやってくれと話しました」

――1日のランチ特打のメンバーが、柳田悠岐外野手、栗原陵矢外野手、中村晃外野手、野村勇内野手が出てくる。
「明日は雨のメニューだから変わりましたけどね」

――あえて、そのメンバーにしていたのか。
「違う違う。4人をとにかく、毎日決めているんです。ずっとキャンプ中盤まで決めているんです。その4人は、その練習(ランチ)が終わった時点で、その日はフリーです。もう午後から何をしてもいい。飯を街中で食おうが、ぶっちゃけ、昼飯をトンカツ屋に行こうがラーメン屋に行こうが、何をしてもOKなんです。午後は自分で考えて、測定を使ってもよし、ウエートを使ってもよし、マッサージしてもよし、この4人を毎日変えていきます」

「(A組野手は20人で)残りの8人8人は、その日の練習の交代があるので、これは1時間1時間くらいはしますけど。4人に関しては、それを毎日4人指名して、自分で考える時間を作っていきます。それはランチの時間を有効利用した練習メニュー」

(竹村岳 / Gaku Takemura)